連載

自分の「女性性」を肯定できない、ネガティブ依存のミソジニー脱却

【この記事のキーワード】

無関係性を成立させる「愛と忍耐」

 そもそもの根本論として、「自己の欠落の補填を他者に求める」心理を、私は意地汚いものと捉えている。欲求を抱くだけならまだしも、実際に要求するとはつまり、自己満足の犠牲として他者を侵略利用することと同義である。その心理こそが人間の特徴であるならば、「人類まるごと図々しい」。人様に御尽力を乞う前に、まずは自力で何とかしろと言いたい。

 そう考える私のモットーは「自力本願」。嫌いなものは「他力本願」。自分の人生は、自分が作る。人には頼らない。助けを求めない。甘えない。依存しない。とはいえ、自力のみでは立ち行かないのが人道だ。1人で生きている人間など1人としていないし、私自身も、これまで多くの方々の支えや助けを賜って生きて来た。人間は、自他の関係性の中でお互いの過不足を補い合いながら、自分一人では形成し得ない大きな和を形成して行く。それが本来、人間の幸福感を増幅する尊い関係性であると心得る。

 だからと言って、己の幸福のために他者を利用して良い道理はない。それは、人の家に土足で侵入し、家具や金や食品を勝手に持ち帰って自宅環境を充実させる、泥棒ならではの幸福感だ。ゆえに意地汚い。自力で食えない飯なら、食うな。人様に何も求めるな。求めずして与えられた時のみ、感謝しろ。

 自己満足を他者に強要する無礼千万な活動を「愛」とほざく者は、他者が満たしてくれない依存的な不満を「愛がない」と誤認する。当然の面構えで、人様の自己に土足で侵入して良しとする心理には、人の心を慮る愛がない。おそらく、自分自身を愛していないのだろう。自己を厳しくも丁寧に愛そうと努力する者は、他者の自己にも敏感であり、自分のものではないからこそより丁寧に扱おうとするものである。

 以上の持論を根拠に、これまで「本気で人を愛して生きるならば、自分はある程度の孤独を覚悟して引き受けなければならない」と頑に信じて生きてきた。私は誰にも、何も、求めない。そんな己の心理を「清潔な美徳」と捉えたことにより、他者との関係性に依存しない自己完結主義に拍車がかかる。その美徳への執着は、「女性嫌悪」同様に、「一長一短を有する他者との心の交流に対し、一短を恐れるあまりに一長をも手放す」種のネガティブ依存に他ならない。

男性に求めるもの

 結局のところ、私は、他者と深い関係性を築き上げることを、恐れているのだ。他者の自己を雑に扱いたくないとするお為ごかしは、自己のエリアに土足で入って来る雑な人間に対する保守的な排他反応である。「本当の自己」を他者に見せることも、他者の自己に触れることも、触れられることも、怖い。つまり、人間を信頼していない。なぜなら「人類まるごと図々しい」からだが、悪いのは人類ではなく、不要な方向性に執念を燃やす己のネガティビティであることは明らかだ。

 よって、見栄も作為もない等身大の自分を、私はこれより自他の関係性の中に放り込む。1人では成立し得ない人間活動の最たるものである「恋愛」にも真面目に取り組み、好きな男性への信頼を根拠に、愛の持論の自縄自縛を解消する。最も苦手な「求める」活動を、嫌々ながらも、やってみる。

 その際、「自己満足の補填を他者に求める」無礼な方向性ではなく、「私とあなたの最大公約数のような、お互いが満たされる共有地を、無理も負荷もない状態で、私と一緒に探していただけないでしょうか」と、謙虚な姿勢で提案することが肝要である。というのも、生まれてから一度も口にしたことがない上記謙遜の台詞は、私にとって弱音を吐くことと同義である。よって、これを実現することによって現状を打破する。

 と、意気込んだはいいが、そもそも私が男性に求めることって何だろうと考えてみると、「特にない」という自分史上最大のしょうもない答えが返って来る。なぜか。我が自己内の男性性はすでに充実しているため、他者である男性による補填を待ち受けるブランクスペースがない。よって、恋愛において精神的に男性に求めるものが、特にない。強いて一点、挙げるとするならば、「私が好きな男性が、私を好きで、一緒に過ごす時間を楽しいと思ってくれたら、嬉しいな」。以上、終了である。

 「優しさ」「誠実さ」「頼りがい」などを敢えて“好きになる条件”として求める必要もない。他者に対する「優しさ」も「誠実さ」も自分の男性性が所持しているものなので、「既に『ある』ので、間に合っております」とお引き取り願うこととなる。「頼りがい」についても、「私の人生において、頼って良い人間は己のみ」。敵はいつだって「己のみ」。頼りがいのある自分になるよう、一人黙々と精進するのみだ。

 って、ちょっと待て。こうして自己完結の思考回路に自然と乗っかっちゃうあたりが、他者との無関係性より脱却できない原因の最高峰なわけだから、却下だ。っていうか、すべての元凶はやっぱりこの男根ではないか。

1 2 3

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。