ママパパ必読のバイブル! 子育て界のトンデモをまとめて検証した『子どもを守るために知っておきたいこと』

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『各分野の専門家が伝える 子どもを守るために知っておきたいこと』(株式会社メタモル出版)

『各分野の専門家が伝える 子どもを守るために知っておきたいこと』(株式会社メタモル出版)

インターネットによって情報があふれかえる今、〈科学的根拠のない効果効能を謳う物件〉が続々と発生しています。主観による判断が大部分を占めるスピリチュアルな物件の場合は本人が納得してれば他人がとやかく言う必要はありませんが、健康問題がからむ物件となると別問題。さらにそれらの通称〈トンデモ〉が子育て界へ及ぶと、問題は拡大していきます。子育て真っ最中の親は混乱し、子どもが被害をこうむるからです。

この夏、13人の専門家によって書かれた『各分野の専門家が伝える 子どもを守るために知っておきたいこと』は、そんな罪深き〈育児界周辺に出回るデマ〉を、幅広く解説しています。同書に取り上げられている物件は、育児章では自然分娩や母乳・体罰・紙オムツなど、医学章ではワクチンやフッ素、発達障害など、食の章では砂糖や牛乳、農薬添加物など。何が本当なのか、誰に相談すればいいのかわからない……と混乱している親たちに向け、悩みをスッキリ解決してくれるアンサーが続々登場! それらの解答には、子育て中の親だけでなく、多くの大人が〈リテラシー〉を身につけるためのヒントがたくさんあります。

今回は同書の企画背景を、執筆者のおひとりである小児科医・森戸やすみ先生、メタモル出版の編集担当者に話をおうかがいました。

感性に頼るのは「考える」ことじゃない

宋美玄先生による<まえがき>で、「玉石混淆の情報の海から、本当に子どものためになるものを選び取るには、『なんかこれよさそう』という感性だけを頼りにするのはよくありません。リテラシーが必要なのは、医学だけでなく育児、食、教育など何事でも同じです」とありましたが、本当に深く頷きました。このことは一冊を通して伝わってきます。

森戸やすみ先生(以下、森戸)「そもそも〈自分の頭で考えよう〉と投げかけられたって、一般の人に検証できるほどの知識があるはずがなく、とても難しいことです。誰だって自分の専門外のことは、その分野の専門家ほどはわかりません。もちろん私だって同じです。そして、目新しい極端な意見に影響されて『見抜いちゃった』『気付いちゃった』と思い、自分の頭で考えた気になって、ワクチンを拒否したりする。あやしい情報をうのみにしまうのは、〈感性〉を頼りに判断しているケースが多いのではないでしょうか」

担当編集(以下、編集)「本当にそうですね。例えば、私が森戸先生に『経皮毒について書いてください』とお願いしたら、森戸先生は『経皮毒ってウソっぽい気がする』と感性で判断するのではなく、まずは偏りなく論文や資料を探すわけです。経皮毒を提唱している人が書いた本も読みます。それから元々持っている医学的な知識と新たな論文などの情報を総合して、初めて考えたり検証したりするわけです。『経皮毒って本当っぽい』とか、『経皮毒ってウソっぽい』と思うのは<感じる>であって<考える>ではないと思います。考えるためには、まずは考えるための材料、つまり偏りのない情報が必要なのではないでしょうか」

確かに、よく「自分の頭で考えよう」と主張しているニセ科学支持者を見かけますが、どうしてそうなってしまうのでしょうか?

編集「なぜでしょうか。偏りなく情報を集めて論理的に考える訓練をしていないせいでしょうか。それこそ、教育現場に根拠のない『江戸しぐさ』や『親学』などが入り込んでいますし……。それが<考えること=感じること>になってしまいがちな理由のひとつなのかもしれません」

森戸「ひと昔前までは、医学でも不確かな情報が多く、医者も今ほど厳密ではない方法でモノを言っていた時代がありました。私が研修医になった1990年代に、ようやくエビデンス(根拠)の重要性が指摘されはじめたんですよ」

編集「この本が出てから、ネット上で〈著者たちの子どもがどう育っているのか見てみたい〉という意見を見かけました。でも、この本は〈こう育てるとよくなりますよ〉という著者の個人的な主観や経験則を紹介するものではありません。専門家として、信頼できるエビデンス(根拠)をもとに書かれています。そこの違いをわかっていただけたらいいんですが……」

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