恋愛も結婚もせずに、出産と育児をしたかったんです/『おひとりさま出産』七尾ゆずさんインタビュー【前編】

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もし「パパがほしい」と言われたら

――ミウラさんが家にやって来るとき、ミライちゃんと二人で何やってるんですか? どんな風に遊んでるんですか?

七尾 どんな風に? 普通にボールで遊んだり。公園行ったり。まるで親のようなこと言ってますよ。単身赴任……単身赴任の人はもっと会うか。会えないパパにたまに会うくらいのノリで、娘のほうが「パパ好きー」っていくので、ミウラにしても普通に「お~、いい子にしてたか~」みたいな、「ちゃんとご飯食べてるか~」「ダメだじょー、ママのいう事聞かなきゃ~」とか。まるでパパのような。パパだけど。そういう感じで、ひとりで産んでますけど、結婚して、円満離婚された方と同じような感じなのかなーと思うんですよね、そのあたり。

――ミウラさんは七尾さんのこと、どう思ってるんだろうって、思いました。

七尾 どうなんでしょうね、私も不思議なんですよね。でも、強引に言ったら断れないタイプだと思うんですよ。ひとりで産みたいっていうのも断れなかったし。どっかのお店で「これをもうひとつ買うと、これもついてきますよ」とか交渉されたらあっさり買わされちゃうタイプなんですよ。え、なんで?みたいな。

――いらないよね、みたいな。お人よしなのかなぁ。失礼ですけど、ミウラさんを主夫として養うっていう選択肢は頭をよぎりました?

七尾 いや~結婚したくないしさっきの借金の話もあるからまず考えなかったですけど(笑)、でも、思いますよね。主婦が「あーあ私にも奥さんがいたらいいな」ってよく言うけど、確かにそりゃいいわって。ご飯作って、子供のお世話してくれて。うーん、でも考えたことなかったなぁ~貧乏だし。私が養うの? ミウラを? ミウラは何も出来ないしな。家事? 育児? 洗濯? 絶対私がする! ってなっちゃう(笑)。でも、もったいないと思うのは、男の人って育児にあんまり参加しないイメージがあるけど、それを男の仕事じゃないとして除外しちゃうのは、絶対もったいないなぁと思って。子供と接してたら、楽しいこと、幸せなことがいっぱいあるのに、その旨みを女の人しか味わえないってもったいないですよ。

私は子供が産まれて、一緒に生きることが出来て、本当に「あ~なんて産んで良かったんだぁ」って思ってるんで。こんな幸せな気持ちを、男の人にも感じて欲しいです。まぁ、でも、ミウラを養って主夫業をしてもらうというのはないですねぇ。……彼だって彼の人生を生きたいでしょうし、押し付けるのは失礼ですしね。人の人生に口出しするのもよくないし、苦手というか、下手なので。

──ここから先、ミライちゃんがママである七尾さんの結婚や再婚を望むようなことがあったらどうですか? たとえばミライちゃんが「お父さんがほしい」と。そしてミウラさんが「ごめん俺結婚するから、もうミライのパパは出来ないわ」となったとしたら。

七尾 ああ、そうなったら、私は恋愛はする気はないので、もうそこら辺はすいませんっていうしか。 戸籍上、何も証明するものがないわけですし。でもですよ、仮に戸籍に証明してもらって、「戸籍上はミライのパパだから、会いに来なさいよ」って言ったって意味はないですよね。

――言ったって、来ないものは来ないですからね。

七尾 そうそう、それはもう、ミライにごめんねって正直に言うしかないです。でもそれは多分、結婚して離婚されてる方も同じだと思うんですよ。

――個人の事情を話すのも恐縮なんですが、私は離婚して子供を育ててるんですけど、子供は「パパはいつも仕事が忙しいので、違うところに住んでいます」って認識してるんですよ。父子はわりとしょっちゅう会っていて、会えば普通にしゃべってるんで、まあ単身赴任の父親みたいな形なんです。離婚していることはまだ子供に説明できていなくて、というのも「なんでパパとママは喧嘩してないのに、一緒に暮らせないの?」ってなっても、今は理解してもらうことが難しいのかなと思って。だから「パパは常に仕事場にいる人」みたいなことになっています。

七尾 ああ、うちも「お仕事忙しいんだ~パパ、でもね、ミライに会いたいって言ってるよ~」とか言って。

――そうすると、パパはパパだっていう認識だから、他のパパが欲しいとか、新しいパパがほしい的な感じは、今のところはうちはないのですが。七尾さんのところもそうなのかなって。

七尾 そうですね、うん。まあ私は恋愛も男性も苦手ですけど、未来に関しては男の人に対して悪い感情、パパに対して悪い感情を抱かずに、ちゃんと円満に育てていきたいなと思うんです。

――この先、ミウラさんが姿を消す可能性もあるなと思うんですけど(苦笑)、借金が膨らんじゃってとか。

七尾 失踪しちゃう、あり得る、あり得る。その時は、そう言うしか。パパはね、海外に行っちゃったんだよ、とか言いますかね。

――将来的に、ミライちゃんもこの漫画読めば、いろいろ納得すると思います。

七尾 どうだろう、漫画読ませるかなぁ。DVとか描いたから読ませたくないです。

――バレますよ、だって、家に置いてありますよね。

七尾 はい、ミライの前で仕事やってます、狭い部屋なので。

――もう間もなく、文字を認識し、これは絵があるぞ、面白そうだぞって興味持つかも。小学生くらいになったら完全に読めちゃう。

七尾 考えてないんですよねぇ、ママがどんな漫画を描いてるって言うかとか。

――うーん、一条ゆかりとかにしますか。ママはね、こんな華麗な。

七尾 その割には貧乏アパートだね、みたいな(笑)。

インタビュー後編では切実なお金の問題に迫ります!

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