頼るべきところに接続する。シングルマザーが自立するということ/『おひとりさま出産』七尾ゆずさんインタビュー【後編】

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――ご自身の医療保険とか死亡保険とかも、かけました?

七尾 かけてないんですよね。一応学資保険に特約はついてるんですけど、でもそれだけじゃ、足りないので。

――もしものことがあった時に、足りない?

七尾 そうなんですよね。かけなきゃなぁと思いながら。

――死亡となると遺族年金もあるけれど。でも、今のところは、健康生活で。

七尾 そうですね、でも何があるかわからないですからね。自分が死んだときに子供が1人になっちゃうっていうのが、一番心配事なので。ミウラはアテにならないし。アイツに預けたらどうなるかわからないし、施設とかいっちゃいそうな気もするし、育てきれませんとか言われそうだし。

――ミウラさんはわりとアッサリ音をあげそうですよね。意地を張らないっていうんですか? よく言えば。お金の話が続きますけど、七尾さんは住民税とか、支払用紙が郵送されてきたら、即払うタイプですか?

七尾 私は一括でポンと払うタイプですね。こまごまと払うの嫌いなんで。ローンとかも嫌いだし。そこまで大きい買い物してないだけかもしれないけど。手元に払える分のお金があればの話ですけどね。あるんだったら、どうせなくなるんだから、みたいな感じですぐに払います。

――大事なことですよ。そこルーズにしてると首が回らなくなりますからね。

七尾 ミウラは税金で、結構な滞納というか。

――ナウですか?

七尾 多分ナウじゃないですかね。出産した時期、口座を差し押さえられてるって言っていたので。税金は自己破産しても、ゼロにならないですからね。

――自己破産しても督促にくるってことですか?

七尾 自己破産してもチャラにはならないです。

――どんどん負担が増えていくっていう。すごいなぁ。

七尾 利息もあるし。だから払わなくちゃいけないよって言うんですけど。なんでそこがちゃんと出来ないのか不思議ですよね。

――でも、そういうことを義務教育されないですもんね。「税金はね、紙がきたらすぐ払うんだよ」「お給料はね全部自分のものじゃないんだよ、そこに税金が含まれてるの」みたいな、誰も教えてくれなかったような。

七尾 そっかー。でもうちの親は言ってましたけどね。「国ほど怖いもんはないからな」と言って。「ヤクザはまだ頭下げたらちょっとは返済を待ってくれたりするけど、国は待ってくれへんでえ~~」って。

――国、怖い! でも一方で、児童関連の手当や福祉にその税金が回ると思えば。

七尾 ね、払わなきゃですよね。

関われない性格の長短

――今日は長いお時間をいただきありがとうございました。ミウラさんと七尾さんの関係っていうのが、一番興味深いところでした。

七尾 お互い、一緒に生きないでおこうねという、同じ方向を見てるみたいな。

――それは、暗黙の了解? 契約じゃないですもんね。

七尾 そうですね、私が最初にそれを提案したんですよね。1人で。向こうに結婚する意志がないのもわかっていたので……ちょうどいいなって。

──子供ができたとき、ミウラさんは落ち込んでいたそうですが。

七尾 はい、産まれてからも多少の後悔はあったと思いますけど。なによりすぐ妊娠したのが、ビックリしたみたい。

――まさか、そんなすぐにしないだろうと思ってらした?

七尾 そう言ってましたね。「こんなに早く妊娠すると思ってなかったから」みたいな。年齢的にも30代後半でしたしね。産まれてから、「もうちょっときちんと考えればよかった。別に産まれたことに後悔はないんだけど、ちゃんと考えればよかった」と言われました(笑)。

――そんなに言うほど、ちゃんと考えてなかったんだ。

七尾 なんだかんだ言って、私が彼を拒否してるように見えたのかもしれないなって、今になって思って。結婚してくださいとは言わないわけじゃないですか。結婚願望ないから、ひとりで産みますって。じゃ、俺いらないの? と思ったかもしれないし。そう思ったら、なんか申し訳ないなっていうか、そういう気持ちは多少ありました。

──彼にも子供が出来てよかったような気がするんですけどね。

七尾 そうですね、私もそう思うんですよ。

――彼自身が変わったなぁとか思います?

七尾 変わったのかなぁ、娘のことは可愛い可愛いって言ってるので、嫌ではないと思うんですけど、彼自身の変化はないですよね。変わったんなら借金返してるはずです。正直、最初200万円であとからギャンブルで300万円でてきたけど。200万円なんてその気になれば返せるじゃないですか。それを返せないでいるわけじゃないですか。500万円になったらちょっとキツイなって思うけど。でも「借金どうですか?」って言っても「減らないねぇ~」しか言わないから。減ってないんだぁ、何で減らないんだろうって。

――利息があるからかな。

七尾 そこらへんの金勘定の計算とか、ミウラは絶対出来ないタイプですね。

――出来ないのを見て、やってあげたくなったりしません?

七尾 しますけど……。

──印税が入っても絶対貸さないでください(笑)。

七尾 それはしないですけど。コミックス3巻の終わりに、私に借りたお金6万円の話があるんですけど、多分ギャンブルで借金して、追い詰められてたんだと思うんですよ。それでギリギリのところで私に言ったらポンッって出てきたから、これ借りれるかもと思って、その2週間後くらいにまた言ってきて。その時もまたふざけた理由で、「被災地から友達が来るんで、もてなしてやりたいからお金を貸してくれ」とかいって。「何言ってんのアンタ、人から借りた金でもてなされて喜んでるような友達なんてやめちまえ」って。そこで私、あぁ、もうダメだなぁと思って。お金を貸しちゃダメだなぁって。

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