「夫婦でずっとセックスするのは難しい」「性的興奮は優しさや守ってあげようって気持ちの正反対」/紫原明子×枡野浩一【5】

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『愛のことはもう仕方ない』/『家族無計画』

『愛のことはもう仕方ない』/『家族無計画』

紫原明子×枡野浩一対談
「無計画」で「仕方ない」夫婦と男女~離婚と自立とセックスレスと~

「セックスレスが離婚の原因だったと思う」とついに宣言した枡野さん。紫原さんは「いかに夫婦は夫婦以外でセックスをしているのか」をデータを元に掘り下げます。そして紫原さんは元夫へのある“復讐”を、枡野さんは自らの“自殺”を語り始めます。そして枡野さんが自殺未遂の果てに「生きてる!」と感じた希望とは……。

「家庭とセックスは相性が悪い」(枡野)

枡野 自分はセックスレスだったことが離婚の原因だったと、ある種思ってるんだけど。この本(『家族無計画』)でもセックスレス問題はけっこう語られていて、面白かったですね。僕の本では身もふたもなく、「男は同じ女性とのセックスには飽きちゃうんです」「100回もすれば飽きちゃうんです」って書いていて、女性たちは嫌だったろうなと思ったんですけど。

紫原 いや、女性も同じです。

枡野 数すれば飽きちゃいます?

紫原 飽きますよねえ。女性もそれこそ、『AM』[注]って女性向けウェブサイトの既婚40代向けのアンケートでは70.3%が「現在、夫以外の男性とセックスしてる」と回答してます。セックスに飽きない女性は夫以外の人としてるんだろうなっていうのを実感させる結果でしたね。

枡野 僕の周りでもうまくいってる夫婦は浮気しあってますね。

紫原 なんか難しいですよねぇ……、夫婦でずっとセックスするっていうのは。

枡野 無理なんじゃないかなぁ。恋愛のまま結婚して、浮気しないでいつまでも仲良くっていうのは。ちょっと人間のシステム上、不可能な感じじゃないでしょうか。

紫原 二村ヒトシさんの本(『なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか』)では“男女間の支配欲はよくない”って書かれてありましたけど、でもやっぱり「支配してやろう」「支配されてやろう」みたいな挑戦的な気分がないと、始まらないというか……。

枡野 どっかで性的なエネルギーって、支配欲だったり攻撃的な気持ちだったりしますよね。優しさや守ってあげようって気持ちの正反対だったりすると思います。

紫原 聞いた話ですけど、大嫌いな人とかケンカしてる人とか、会社でどうしても許せない人とかとするセックスがすごくイイっていう……。

会場 (笑)

紫原 枡野さんはそういう経験ありますか?

枡野 ないけど、でもちょっとわかる気がするな……。あの僕、離婚調停で苦しめられた、奥さん側の女性弁護士のことを心の中で貶めていました。

紫原 あははは。

枡野 ほんとに腹が立って。

紫原 支配欲というか、服従させたい欲ですかね?

枡野 なんでしょう? 僕、その頃、女性弁護士モノのAVばかり観てましたもん。

会場 (爆笑)

枡野 ほんとに嫌な弁護士さんだったんです。『週刊朝日』でコメンテーターするような。

紫原 ヒイヒイ言わせてやる……みたいな(笑)。

枡野 ヒイヒイは……まぁ、なんか、もう…ほんとにね…。

紫原 自分が相手に一番影響力を与えられるものかもしれないですね、セックスって。

枡野 僕もこの本(『愛のことはもう仕方ない』)に書いたように、EXILE先輩たちとの乱交っていうイメージがね……。いつも話すと引かれるんですけど。

紫原 すごく具体的に書いてあってびっくりしました。

枡野 そう……。でも、こういうこと思ってる人は意外と多くて、みんな言わないだけなんじゃないかなって。

紫原 そうなんですよね。女性にも、セックスのときにだけ「被支配欲」がある人もいるし。

枡野 ただそれが本当に現実になったら楽しくないかも知れなくて。僕だって実際にEXILEにまじったらツラいと思うんですよ。

会場 (大爆笑)

枡野 酒飲めないし、踊れないし。

紫原 あはははは! 同じパフォーマンスするのはツラいでしょうね。

枡野 きっとね、レモンサワー[注]を飲むのもツラいと思うんですよ。

紫原 レモンサワーですか?

枡野 そう。レモンサワーを大量に飲むらしいんですよ、EXILEって。だから、やっぱり願望ってファンタジーだから。それとほんとの家庭生活はとっても遠いものだと思うから。赤ちゃんって可愛らしいものじゃないですか? その赤ちゃんが可愛いっていうのは性的なものからとっても遠いような気がしていて。それを両立させるのって、すごいスイッチの切り替えが必要で。

紫原 家庭の中でセックスするのが難しいから外で不倫する人も多いと思います。先程の『AM』でも、驚くべき数の女性が不倫してると。もう(回答者のうち)半分くらいの女性が不倫してる……。

枡野 媒体の読者層もあるでしょうけどね。

紫原 はい。それで、同じくびっくりしたのが、その『AM』で不倫限定でアンケート募集したら、たった1日で500件以上の回答が寄せられたそうで。本当は不倫の話しをしたいという女性が少なくないみたいなんです。

枡野 ですよねえ。男性の先輩ライターによると、「セックス大好きな人ほど不倫する」って……。

紫原 それは性欲が強い人ほど不倫すると思いますよね。それに、いけないセックスほど楽しいじゃないですか。

枡野 紫原さんの本に書いてありましたね。“不倫してる女は、相手の妻を傷つけて楽しんでることを自覚しろ”“妻を苦しめれば苦しめるほど楽しいんでしょ”――って。

紫原 はい。焼肉食べるとき、「牛さんかわいそう~」って言いながら食べるなって。「奥さんかわいそう~」「奥さんに悪い~」って言いながら不倫するなって!

枡野 それはすっかり奥さんが不倫を盛り上げる興奮のスパイスにさせられてますよね。

紫原 奥さんかわいそうじゃないですか。かわいそうですよ。死んじゃいますよ、牛も奥さんも。でも絶対共犯関係のほうが楽しいじゃないですか、ものごとは。

枡野 性的なものは後ろめたさが大事なんじゃないでしょうか。

紫原 そう思います。

枡野 家庭は後ろめたさと正反対だから。話せば話すほど、家庭とセックスは相性悪い。

紫原 夫婦で異常性癖を共有できるとか、そういう奇跡的幸運がない限りなかなか難しい……。

枡野 無理ですね……。あとね、この本(『家族無計画』)にあった、“女性が浮気したことによって、かえって男性が燃えて、セックスレスが解消した”ってケース、けっこうレアな気がして……。

紫原 はい、そうかもしれないですね。

枡野 女性に浮気されると男ってけっこう萎えて、離れてますよね。僕の知りあいはそうです。

紫原 へえ……。

枡野 女は浮気されても耐えてる人多いのに、男って浮気されるとほんっとうに、こらえ性がないですよね。

紫原 私が本に書いたケースの女性は、枡野さんの元奥さんのように、男性を振り回すタイプの女性で。次回の枡野さんの対談相手の方も、どちらかといえば、振り回すタイプですかね?

枡野 そうそう次回の対談に出て下さる植本一子さん[注]。ECDさん[注]の奥さんの方で。それでECDさんがいながら、恋人ができちゃって……。

紫原 それを書いてらっしゃるんですよね。でもECDさんはそれ(植本さんと恋人の関係)を認めてらっしゃるんですよね。

枡野 正直、僕、植本さんの本(『かなわない』)[注]を読んだとき、元妻を思い出してしょうがなくて。もう半分くらいまでは読むのが嫌で嫌でしょうがなくて、読んでて。元妻のことが思い出されて。でも全部読んだらね、すがすがしい気持ちになれましたね。

紫原 振り回す女性と振り回される女性がいて。私も、浮気とか、お金の問題ですぐ離婚したわけじゃなくて、その4年くらい連れ添ってしまって……。男性でも、振り回されることに免疫というか、耐性ができてしまう人っていると思いますよ。だって楽しいんですよ、ある意味、振り回されることが。楽しいですよね?

枡野 そうかも。離婚を切り出されたときに、絶対したくないですと、ECDさんはそう言ったらしいんですね。僕もそうやって離婚せずに今に至れば……“樹木希林妻”の逆?

紫原 逆っていうか、いないんじゃないかな。(それに該当する)象徴的な男の人。女に振り回されても耐え続ける男……。

枡野 新しい概念として、“枡野浩一夫”という存在を……。

会場 (笑)

紫原 (芸術家の)岡本太郎さんは?

枡野 岡本太郎の場合は、自分の愛人を養子縁組してたんですよね。岡本太郎のお母さんかな? お母さんの岡本かの子[注]が、自分の旦那のほかに(若い学生の自分の)愛人を住まわせていたんじゃないかな、歌人の岡本かの子。

紫原 歌人……やっぱり歌人ですか。

枡野 歌人は性的に狂った人が多いですよね。

紫原 枡野さん、後継者になれたかもしれない……。

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