アパレルデザイナーの妻(アヤコさん)と中1の長女(なっちゃん)、保育園年中さんの次女(たまちゃん)を支え、放送作家の仕事と兼業主夫で日々奮闘する杉山錠士さん。長女が誕生して早々から夫婦は喧嘩続き。離婚を考え始め、離婚調停に向けて着々と準備をしていく日々。そんな中で、アヤコさん、2人目の妊娠が発覚。一体なぜ? そして、杉山さん自身にも大きな“気付き”があったといいます。それは何だったのでしょうか。
【1】離婚をして親権を得るために「家事育児」に取り組んだ夫/イクメン杉山さんインタビュー
離婚調停の準備を進めていく中で発覚、2人目の妊娠
――ここまでいかに夫婦喧嘩が絶えなかったか、離婚を検討していたことも含めて伺ってきましたが、あの……コミックエッセイの中では、2人目のお子様・たまちゃんが、さらっと誕生してましたけど……セックスレスではなかったということなんでしょうか?
杉山 いえ、レスでした(苦笑)。2011年の12月末に誕生しているのですが……つまり、震災ベイビーなんですよ、なんと。2010年の冬には離婚手前、それこそ僕が離婚調停の準備をしていて、知り合いの弁護士さんにいろいろと相談をして「2011年の5月くらいに」って予定していたんですね。そんな中で、3・11の震災が起きました。不仲になってからの僕は、家事育児はするんだけど、子供を寝かしつけてから夜は飲み歩くような生活をしていたんですけど、地震以降はそうもいかなくなって。いつ余震がくるかわからないから家からも出られないし、節電で家の中は暗いし、う~んって言ってるうちに……えぇ、子供が産まれました。
――家にいる時間が増えたからといって、そうなるものですか?
杉山 いや……単純に一緒にいる時間が増えて結果的にコミュニケーションが復活したのが大きいですね。
――離婚調停の準備までしていたご夫婦を、何が変えたんでしょう。
杉山 僕よりも妻が変わったことが大きかったんです。多分、3・11の怖さもあったんだと思うけど、前の年に、その“指輪事件”があってから、「夫は離婚に対して本気だ」っていうのはひしひしと感じてたのだろうし……コミュニケーションをある程度とるようになって。それまではお互いに「この人、言ってもわからん」っていうのがいっぱいあったけど、コミュニケーションが復活して、「言ってもわからないから」じゃなくて、それまであまり言わなかったことを僕もズバッと言うようにしたんです。そうしたら、妻は意外と、辛辣なことを言われても平気な人だった。溜め込むんじゃなくて言っても大丈夫だなってわかったら、僕自身も楽になっていったんですよね。