生命保険が必要と考える「ちょっと変わった」理由
教科書通りに言うならば、生命保険への加入は、公的な給付で不安な部分を補うことを目的にするべきでしょう。
でも、私はちょっと変わった観点にも注目しています。現在FP・社労士として働いている私ですが、過去に生命保険会社セールスレディを8年ほどしておりました。その際に培った経験と現在FPとして12年ほど多くの方の相談を受けていて感じることを織り交ぜて紹介します。
私が生命保険のセールスをしていた頃には、もちろん生命保険に加入しない人々が何人もいました。多くは、大手企業、公務員で公的な給付以外にも上乗せ給付のある人達ばかりで、ある意味「教科書通り」に加入する必要がなかったわけです。全てを理解した上で加入しないわけですから、それはそれで何ら問題がないと私も思っていました。
それから、10年、20年と経ってその方々とお会いすると、なんといつのまにか全員生命保険に加入していたのです。また、FPで独立した後に生命保険の相談に来られる方の中にも、一度も生命保険に加入したこともないのに、40代50代になって、何としてでも保険に入りたいという気持ちに変わってしまった方もいらっしゃいます。
そして私は、「この国では、多くの人が生命保険に入らずには過ごせない!」という結論に達しました。
人は弱い生き物です。加入しない強い意志を持っていたはずなのに、健康診断で「要観察」などのマークが多発し、さらに再検査だの言われたら急にビビって保険に入りたくなるものです。また、妻や夫、配偶者の親や兄弟に「生命保険にも入っていないの? 何かあったらどうするの!」と軽く責められ保険を検討することもあるでしょう。あるいは家族、友人、知人、有名人が病気になってから、自分の健康も不安になってくることだってあります。魅力的なテレビCMなどの広告に純粋に影響を受けてしまう可能性だってあります。人はあらゆる理由で「何だか知らないけど保険に入りたくなる」ようなのです。
そして、何を隠そう、生命保険も公的な保障も熟知しているはずの私自身も医療保険にしっかり加入しています。第一回でも書いた通り、私はかつてがんの疑いで検査入院をしたことがありました。結果、がんではなく、治療の必要もないという嬉しい結果だったのですが、「これが何かの病気だったら、もう医療保険に入れないんだ……」と思うと、とても不安になった経験があります。
あり余るほどの貯蓄があるとか、実家がとてつもないお金持ちであるとか、特殊な事情が無い限り、「心の安心」のためにも医療保険は加入すべきと考えています。
「日本人は保険好き」という皮肉を込めた言い方があります。
ある時思いました。
「保険に入りたくなるのは日本人だから仕方ないんじゃないか? いっそのこと開き直って、『日本人だから保険大好き! LOVE!』くらいの感じで、最高にお気に入りの保険に入ったらいいじゃないか! そんなお金の使い方なら無駄じゃないのではないか!」
どうせ放っておいたら、いつの間にか謎の保険に入ってしまう。だったらFPとして、皆さんが「LOVE!」と思える保険を見つけられるようなヒントを提供していった方がいい……と私は考えています。保険と「LOVE」を結び付ける自分の異常性は自覚しています(笑)。でも、保険に限らずなのですが、お金は、笑顔で気持ちよくLOVEな気持ちで使ってほしいのです。
そして、いざ、保険に入ると決めても、どんなものがいいの? 保険料はどのくらいがいいの?などの疑問があると思います。次回にもう一歩踏み込んでお伝えしようと思います。
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