連載

両親が離婚して「本当に好きな人」と再婚…大人の恋愛を描いた『ママレード・ボーイ』

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 駆け落ち覚悟で光希と遊は、両親ズに自分たちの関係を打ち明ける。すると両親ズの口から、意外な真実が……。結果的に、光希と遊は、きょうだいではなかったのである。それどころか、ずっと「本当の父親ではない」と遊が思い込んでいた要士は、正真正銘・血縁の父親だった。すべては遊の勘違いだった……という、トレンディなだけに少々ずっこけなオチ。ただ、両親ズの独白は、連載当時に小学生読者だった筆者にはよく意味がわからないものだったが、大人になった今は「なんてすごい決断をしたんだ」と感心させられる。

 大学~新入社員時代、今の組み合わせで男女交際していた両親ズ。しかしすれ違いが重なり、要士と千弥子が、仁と留美が心から愛し合うようになって結婚・妊娠・出産、家庭を築いた。遊が大きな誤解をしていた「要士は本当の父親ではない」という情報だが、千弥子は仁との子を妊娠していたが流産、その後、支えてくれた要士と結婚し身ごもった子どもが遊だったのだ。それぞれの子ども(遊と光希)が高校生になるほどの長い年月を経て、夫婦の愛情が友情に近いものに戻っていった頃、4人は偶然、ハワイ旅行で再会。誤解は解け、昔のときめきがよみがえり、かつての恋人ともう一度恋に落ちた。話し合った結果、パートナーを交換してやり直そうということになった。恋も友情も4人で改めて育もうと思った、と、両親ズは経緯を説明する。幼稚な誤解と嫉妬による別離、さらに勢いでくっついて結婚したため、子どもたちに経緯を言いにくかった、とのこと。これにより、光希と遊が晴れて親公認の恋人同士となったところで『ママレ』の連載は終了した。なかなかお騒がせな家族だったが、無事ハッピーエンドとなり、当時わたしは胸を撫で下ろした。とはいえ、千弥子が自分との子を流産していたと知った時の仁と、千弥子の苦しみを知らなかった留美はきっと罪悪感に苛まれただろう。

 2016年現在、再読してもっとも印象深かったのは、高校生のときめき恋愛模様ではなく、両親ズの生き方である。『ママレ』の最終巻で作者も述べているが、もし光希と遊が本当に兄妹だったら、両親ズはただのひどい人たちだったということで終わっていただろう。子の心情を無視した交換結婚は、作品内で、も光希をはじめとする登場人物に「ひどすぎる」「常識がない」と非難されていた。連載終了から21年後の現在も、たとえば「発言小町」あたりで光希or遊の立場からトピを立てた場合、メタクソに叩かれるだろう。いやいや、両親ズの誰かが「交換結婚をする予定なのですが、子どもの同意が得られません」なんて相談トピを立てたとしても、ボロクソ言われるだろうな。では、家族とは、<戸籍上のつながり>がなければ成立しないのか? おりしも自民党改憲草案における憲法24条の改正について、日本における家族観が問われている現在、『ママレ』は「家族とは何か」というテーマを持ったマンガのひとつと言えるだろう。

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