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両親が離婚して「本当に好きな人」と再婚…大人の恋愛を描いた『ママレード・ボーイ』

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 もちろん両親ズは非常に特異なケースであり、現実には「交換結婚」、つまり4名の総意で結婚相手を入れ替え、しかも全員で同居することはレアであろう。まず彼らは元恋人同士だし、偶然にハワイで再会して全員に同様の心の動き(=学生時代の恋人とヨリを戻したい)が起こったこと、など複数の前提条件があってこその「交換結婚」だ。『ママレ』はマンガだからご都合主義なんだといわれてしまえばそれまでだが、交換結婚をした両親ズが新夫婦ごとに住居を構えていたら、光希と遊は、自分の父と母どちらかと別れて暮らさなければならず、また義理の父もしくは母との関係も築かなければいけない。親子関係を変えずに済むという点を重視すれば、6人いっしょに暮らすことによって子どもへの影響や負担は最小限にとどまっているように思える。両親や血縁以外の大人と生活することは、多様な価値観に触れる可能性が高まり、子どもにとってもマイナスではないだろう。多感な時期の子どもは、自分の父や母と話したくないこともある。血縁ある親子だからといって相性の良さが保障されているわけでもない。自分の父、母以外に相談できる大人がいることで救われることもあるかもしれないのだ。まあこれも、家族内にイヤな大人がいないからだが……。

 ただ、トレンディかつリベラルな両親ズは、大人であっても親であっても、友人関係を深めていい、自分の人生を楽しんでいい、恋に落ちていい……と教えてくれる。何より彼らは両組とも対等な夫婦関係だったし、4人が4人とも経済的・精神的に自立していたため、このような決断を下せたのかもしれない。自分自身の人生を受け入れ自尊感情を確立させていなければ、このような家族関係は成り立たないし、継続しないだろう。一見すると“不道徳”となじられそうな両親ズの行動だが、実はそれぞれが成熟しているからこその関係性であることを忘れてはならない。

 2013年より集英社の大人向け少女漫画雑誌『Cocohana』(元コーラス)では、両親ズがアラフォーにして同時期に妊娠・出産した、光希と遊の弟・妹にあたる立夏(要士と留美の娘)と朔(仁と千弥子の息子)の物語『ママレード・ボーイ little』が展開中である。『ママレ』の登場人物たちともう一度会えるのもうれしいところ。彼らの「その後」が気になっていた元りぼん読者の方にはぜひ読んでいただきたい。

(中崎亜衣)

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