社会

性犯罪者が犯行時に目の前の現実をどう捉え、何を考えていたかを知る/「性犯罪は男性の問題である」対談・後篇

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 なぜ彼は問題を起こしたのか、だけでなく、彼は犯行後何を思っていたのかも今後、語られることはない。性犯罪者は女性を傷つけ、尊厳を踏みにじる行為である。「バレない」と思っていたのだろうか。

小澤「トシオは、行為が終わった瞬間に後悔しています。レイプしたカオリに対しても、性虐待している娘のユウに対しても、罪悪感で心が占められている。現実の性犯罪者たちも、ひとつひとつの犯行に対して後悔はしているのではないでしょうか。ただ、その後悔をさらに上回る何かがあるからこそ、女性への加害が常習化してしまう……」

火を消さずに、議論を。

斉藤「まさにおっしゃるとおりで、私が性犯罪の加害者臨床で関わるなかで多く見てきたのが、『これを最後にしよう』と思いながら行為に及び、対象行為後は一時的に罪悪感に襲われるパターンです。けれどそういう、スリルとリスクが極めて高い状況下での犯行だからこその達成感もあるようで、すぐに次の行動への渇望感が高まります。このようなサイクルをくり返すと、いずれ自分ではコントロールできなくなってきます。でも『誰かに止めてほしい』とは思うようで、逮捕されたときの気持ちを聞くと『やっと逮捕された』『逮捕されて安心した』という加害者は少なからずいます。被害者の方々にとっては許しがたいことですが、これが彼らのなかではリアルに起きている心のメカニズムなんです」

 高畑裕太は犯行後、「寝ていた」と報道されている。

斉藤「だから私は純粋に知りたいんです。仮に報道のような犯行があったとするならば、彼があのとき、その現実をどう捉えていたのか」

小澤「事件自体はその日に起こったものですが、彼のなかではそれを起こしてしまった原因の種をずっと前から抱えていたのかもしれない。そして彼は自分でも知らないうちに、それを育ててしまっていた……。事件を点ではなく、線で見直したいですね」

斉藤「今回の事件の報道で、強姦という理不尽な性暴力への疑問や怒りの火が胸に点った人は少なくないと思います。他の性犯罪も同様、不起訴になって報道されなくなるにしたがって、その火が消えていくのはあまりにやるせないことです。ここから性犯罪についてもう一歩踏み込んだ『性犯罪者への再犯防止プログラムの必要性』にまで議論を発展させたいですね。そのためにも性犯罪は女性の問題ではなく“男性の問題”であると男性自身が認識し、加害者の実態や被害の残酷さを知ることが、いま求められています。性犯罪者をモンスター化するだけで考えを止めてしまうのは、彼らの罠にハマっているも同然ですから」

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映画『月光』
第32回ワルシャワ国際映画祭・国際コンペティション部門に選出!

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同映画が、ポーランドで開催されている、歴史と伝統ある国際映画祭のインターナショナ ル・コンペティション部門にて上映されることになりました。
「性犯罪の捉え方は国によって異なります。この映画を受けての反応も日本とは違ったものになると思うので、楽しみです」(小澤監督)
国内でも引き続き順次公開中! 劇場情報は公式HPをチェック。http://gekko-movie.com/

 (構成・写真=編集部)

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