恋愛ブームは90年代で終わった!? 誰とも付き合っていない未婚者が7割、でも「恋愛できない若者」が増えたのではない

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『pink』(マガジンハウス)

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 交際相手がいない独身者が女性で6割、男性で7割という調査結果が発表されました(「第15回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」)。「草食系男子」という言葉に代表されるように、恋愛に積極的ではない男性の存在は近年注目され続けてきましたが、男性だけでなく女性にもこうした傾向は当てはまるようです。

 ただし結婚の意志は高水準のままです。「いずれは結婚するつもり」と回答した未婚者は女性が9割、男性が8割と、過去に行われた調査と同程度を保ち続けています。

「恋愛ブームが終わったんでしょうね」

 と分析するのは、messyで「女性の生き方」についての連載を執筆している家族社会学者の永田夏来さん。永田さんは「恋愛するのが当たり前だった時代のほうがむしろ特殊だったのでは」とお話になります。

「交際不活発の傾向はこれまでも指摘されてきました。90年代までは、セックスなどの性行動は“反社会的でカッコイイ”という価値観が当時の若者の間に広がっていました。例えば援助交際をする女子高生のフィールドワークを手がけていた社会学者の宮台真司さんは、ブルセラや援助交際ブームを牽引した1977年生まれ前後を「援助交際第一世代」として、メディアに登場する彼女らを「活気と輝きと全脳感にあふれていた」と評していました。また、恋愛と消費も結びついていたので、恋愛に、個人だけでなく社会のニーズがあったんです。身体や性を通じて世界を知り、自分を発見する女性を主人公にした漫画も80年代から90年代に多く見られますよね。岡崎京子さんはまさにそうした著者の代表です。このように、90年代は恋愛ブームが作り出されていったんです。データで見ても、90年代半ばに10代を過ごした世代の性行動は他に比べて活発なんですよ」

 しかし、なぜ恋愛ブームが終わったのでしょうか。単にみなが飽きてしまったから……?

「結婚前のセックスを忌避する規範が弱まったのが理由のひとつでしょう。NHKが行った『日本人の意識』という調査によると、1973年に“結婚式がすむまでは、性的なまじわりをすべきではない”と回答する人の割合は58.2%と意外に高いんです。少しずつ減少していきますが、“深く愛し合っているなら、性的なまじわりがあってもよい”と逆転するのは1993年なんですね。私たちが思う以上に婚前交渉を忌避する歴史は長いんです」

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