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「リケジョ」の失敗により低賃金状態におかれる日本の女性たち

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日本の女子は理系科目ができないのか?

 ここまでのデータを見て、「(日本の)女子は理系科目が出来ないからSTEM系の学部を避けているのでは」と考える方もいるかもしれませんが、それは誤りです。15歳時点で実施される国際学力調査・PISAの最新の成績を見ると、日本の女子の数学の成績は参加国の女子の間でも韓国に次ぐ第二位ですし、科学についても第三位に位置しています。日本の男女間の成績の差についても、数学で18点、科学で11点と統計的に有意に男子の成績が良いのですが、読解で24点女子が男子を上回っているのと比較すると、決して大きな差があるわけではありません。

 さらに、小学校4年生、中学校2年生の段階で実施される国際学力調査・TIMSSの最新の成績でも、日本の女子は数学でも科学でも参加国の中でトップクラスの成績を残し、中学校2年生の科学を除き、日本の男女間で成績に統計的に有意な差は存在しません。つまり、日本の女子は先進国の中でもトップクラスの成績を理系科目で残していますし、日本の男子との比較で見ても大きく劣るわけではありません

 「日本の女子が日本の男子と比べて読解力が高いので、文系学部に進学してそれを活かしている」というのも考えづらい状況です。なぜなら、PISAの読解力における24点という男女差は参加国の中では3番目に小さな値であり、他の先進国の女子の方が国内で男子に対して読解力で優位に立っているにもかかわらず、STEM系の学部へと進学しているからです。

 なぜ15歳の時には理系科目が出来ていた日本の女子がSTEM系の学部を避けてしまうのでしょうか? 上記で説明したデータを勘案すると、最も有力な可能性は高校段階における、校内・家庭での進路指導や、高校の中での生徒間の圧力(ピアプレッシャー)の存在です。これらについてはまた別の記事で取り上げたいと思います。

まとめにかえて――科学技術立国という幻想

 日本の女性は高等教育以降での就学率が低いうえに、学んでいる内容も将来の高収入に結び付きづらいものに偏っています。この状況では労働参加の様々な側面におけるジェンダー平等を達成することは不可能で、女性の労働参加による経済発展を推進するためにも日本政府・日本社会が一丸となって女子教育を推進していく必要があります。

 日本の失われた20年の半分近くを外国から見てきた私ですが、日本は様々な幻想に絡めとられてその推力を失ったと感じることがあります。その一つが教育立国です。日本の公教育支出は先進諸国の中でも少ない方に分類され、特に大学院以降の就学率は先進国でも最低水準で、さらに女子の高等教育就学率も先進国で最低水準となっています。「日本は教育立国である」と言われるとさぞ教育に力を入れているのだろうと思い込んでしまいますが、こうした思い込みが、「日本が先進国の中でも最も教育に力を入れていない、すなわち人的資本投資が最もなされていない国の一つである」という現実から目を背けさせてしまっています。

 同様のことは科学技術立国についてもあてはまります。日本の女性たちは先進国の中で最も科学技術から遠ざけられた存在だと言っても過言ではありません。国民の半数がこれだけ科学技術から遠ざけられている事実は、科学技術立国という幻想に覆い隠されてしまっていないでしょうか? 女性たちこそ高等教育でSTEM系を学べるように今対策を打てなければ、教育立国・科学技術立国という言葉は永遠の幻想となり、この幻想が日本の経済発展や労働におけるジェンダー平等の実現を阻害し続けてしまうでしょう。

まとめ

科学・科学技術・工学・数学というSTEM系学部の卒業生は平均所得が高いと考えられる
日本のSTEM系学部の女子学生比率は先進国で最低水準である
日本の女子学生の多くは、卒業後に低賃金が予想される学部で学んでいる
日本でSTEM系の学部に女子大生が少ないのは、女子が理系科目が出来ないからではなく、高校段階での学校・家庭における指導に問題があるからと考えられる

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