「セックスレスで不倫」「セックスレスで離婚」の分岐点/枡野浩一×植本一子【2】

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「岡田斗志夫さんの本で『夫婦は別れて暮らすべきなんだ』って」(枡野)

構成担当F 枡野さんは前の奥さんに対してはやはり、植本さんに対するECDさんみたいに「あなたがなにをやっても別れないよ」という強い意志を持てなかったんですか?

枡野 う~ん、自分はキスは嫌い、セックスもあんまりしない、それで「そんなんだったら浮気しちゃうから」と言われて、「いまこんな素敵な彼氏がいるから」と言われたら、自分はキス嫌いだし(仕方がない)なぁと思うかもしれませんね。あと僕、言葉で説得されちゃうところがあって、この青い本(『愛のことはもう仕方ない』)にも書きましたけど、(評論家の)岡田斗司夫さん[注]の『フロン』[注]という本をふたりで読んで、「そうだよ、夫婦は別れて暮らすべきなんだよ」って結論になっちゃったのも、いま思えば馬鹿なんですよ。まさか岡田斗司夫さんがあんな人だとはあのときは思わなかったし。

構成担当F 岡田さんが「80人の愛人がいる」と宣言するような人だとは思わなかったと?

枡野 そうなんですよ。僕、岡田さんとはテレビ番組でご一緒したことがあって、「『フロン』読んでうちの夫婦は離婚したんですよ」って言ったら、「よかったですね」とか言うと思ったら、すごい動揺してたんですね、岡田さん。気がちっちゃく見えて。「あ、この人、動揺してる!」とか思って。確信犯じゃなかったのかと思って。ちょっと不信感を感じたんですね。あ、ちなみに彼がキスしてるとこ見たことありますし、僕。吉祥寺でタクシー乗るとき、キスしてるんだよ!? みんなに見てくれと言わんばかりだよ!? だから……僕は頭でっかちだと思いますね。もし言葉で(元奥さんに)説得されてたら、「他に好きな人ができちゃったの。あなたはキスも嫌いだし、セックスも弱いでしょ。だから満足できないので、このきれいな(元奥さんが寝室にヌードカレンダーを貼っていた)辺見えみりとつきあいます」って言われたら、「まぁ確かにきれいだしな、しょうがないな。これで家族うまくいくなら我慢するか」ってなりかねないかも。

植本 なりかねないかも?

構成担当F 植本さんは、こんな枡野さんを「ECDさんと似てる」と思いますか?

植本 なんか違う! なんか枡野さんは(元奥さんの)南Q太さんの初体験の話とか、「いままで何人」とかを「やっぱいい! 聞きたくない!」みたいになったっていうじゃないですか。あれぜんぶ私は、(南Q太さんは)聞いてほしかったんじゃないかなと思うんですよ。

枡野 えっ、そうなの!? 受け入れてほしかったの?

植本 なんでも受け入れてほしいよ!

枡野 「77人」とか言われても?

植本 うん。「へえ~、すごいね~」とかいって受け入れてほしい。だって家族でしょ?

枡野 そうかあ。そこがダメだったのかなぁ……。

[第2回の注釈]

■『ショートソング』
枡野浩一・著の短歌を題材にし、吉祥寺を舞台とした青春小説。集英社文庫・刊。

■『働けECD わたしの育児混沌記』
植本一子のデビュー著作。ミュージックマガジン・刊行。「月給16万5千、家賃11万、家族4人(と猫3匹)、生活してこられたのが不思議でしょうがない──ラッパーECDの妻(27歳・写真家)が、夫(51歳)と娘二人(2歳と0歳)のドタバタ生活をつづった人気ブログ「働けECD」の単行本化」(amzon内容紹介より)

■messyインタビュー
<前編/「子供がかわいそう」の声も気にならなくなった。結婚、育児、仕事、婚外恋愛、家族…告白の書『かなわない』植本一子の“いま”>
<後編/大人の都合を内面化した「いいお母さんごっこ」をやめる。規範から抜け出すべくもがいた『かなわない』植本一子>

■中村うさぎさん
作家・エッセイスト。1958年生まれ。代表作に『ショッピングの女王』(文藝春秋)、『女という病』(新潮社)などがある。メールマガジン『中村うさぎの死ぬまでに伝えたい話』

■二村ヒトシ監督
AV監督・作家。1964年生まれ。大学生時代に演劇集団を主宰。AV男優を経てAV監督・作家になる。AVの代表作に『美しい痴女の接吻とセックス』『女装美少年』など。著作に『あなたはなぜ「愛してくれない人」を好きになるのか』『すべてはモテるためである』(文庫ぎんが堂)、『日本人はもうセックスしなくなるのかもしれない』(湯山玲子との共著/幻冬舎)、『モテと非モテの境界線 AV監督と女社長の恋愛相談』(川崎貴子との共著/講談社)などがある。

■南Q太
漫画家。1969年生まれ。元夫に歌人・枡野浩一。代表作に『ぼくの女に手を出すな』『さよならみどりちゃん』『クールパイン』などがある。

■町山智浩
映画評論家、コラムニスト。1962年生まれ。米国カリフォルニア州バークレー在住。代表作に『映画の見方がわかる本』、『アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない』などがある。最新作は『トランプがローリングストーンズでやってきた』。

■岡田斗司夫
作家・評論家・プロデューサーなど多岐にわたり活動している。1958年生まれ。通称:オタキング。(株)ガイナックス元代表取締役社長、東京大学教養学部非常勤講師、大阪芸術大学芸術学部キャラクター造形学科客員教授などを歴任している。

■『フロン』
岡田斗司夫/FREEex・著。amazon Kindle版にて発売中。<家庭から夫をリストラせよ!著者自身が「家庭からリストラされる」ことを身をもって実践・検証した話題の書>が出版当時の紹介コピー。

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