
左:『Suffragette』右:『未来を花束にして』(C)Pathe Productions Limited, Channel Four Television Corporation and The British Film Institute 2015. All rights reserved.
女性映画が日本に来ると…?
皆さんは最近、ツイッターでこんなハッシュタグが流行したのをご存じでしょうか。
#女性映画が日本に来るとこうなる (Togetterまとめもあります)
こちらのハッシュタグは、1910年代に英国で選挙権を求めて立ち上がった女性たち、とくに労働者階級の活動家の姿を描いた歴史映画Suffragetteの日本語タイトルが、『未来を花束にして』に決まったことに端を発するものです。‘Suffragette’は英語で女性参政権運動家を意味する言葉で、戦闘的な活動家を指す時によく使われます。日本の配給会社は、これを映画の内容が全く想像できない題名に変更しました。さらに女性の力と連帯を強調するような広報が行われていた英語版に比べると、非常に感傷的なイメージで宣伝を行いました。これを見て怒った人々が、海外の女性映画が日本に輸入されるといかにセンスがなく性差別的な宣伝が行われるか例示したのが上のハッシュタグです。
このハッシュタグから見えてくる日本におけるマーケティング慣行は興味深いのですが、一方で私がひっかかったのは、そもそもこのハッシュタグを見て「女性映画」って何? と思った人がけっこういたらしい、ということです。ファンや研究者の間ではよく使われる表現ですが、その外では意外に知られていないようです。実はこれをきっかけに私はウィキペディア日本語版に英語版からの翻訳で「女性映画」の記事を作ったのですが、せっかくなので今回はこの言葉の来歴を説明したいと思います。