二児の母であるSHEILAさんの夫は一般人。第一子出産時から、「子供は(母親だけでなく)夫婦ふたりで育てるのが普通だよね」と意見が一致しており、積極的に家事育児を担当しているのだという。SHEILAさんは「夫の家事のやり方に雑だとか不満を抱く妻は多い。でも、いちいち口を出したらダメ。無理にホメなくていいから、夫が家事に慣れて習慣化するまで放っておいてあげて」とアドバイスした。
司会を務めた白河桃子さんは、保育園の送迎をする父親がここ数年で飛躍的に増えた実感がある、と話した。筆者もそう思う。というのも、私の娘は現在5歳、保育園の年中組に通っているが、朝、父親が送り届ける家庭が半数ほどに増えた。娘が0歳児クラス~2歳児クラスあたりまでは、こんなに多くの父親の姿を見かけなかったのに……と思うと感慨深い。
とはいえ、全国的に見てまだ育児参画する男性への偏見、男性自身の敬遠も払拭できているとは言い難い。男性の育児休暇取得率は、女性のそれがほぼ100%なのに比べて、1割にも満たない。政府が2020年までに女性の管理職3割という目標を掲げるならば、そのためには主夫男性も3割いなければいけないんじゃないか、というのが、秘密結社・主夫の友の主張である。現状、主婦・主夫という言葉には、収入がない、生活費を配偶者に依存する存在というイメージがある。主夫の友メンバーである男性たちは、「主夫です」と名乗ると、世間で偏見の目で見られ、変な人だと思われ、あげく職場で怒られてきたいう。男のくせに、穀潰し、ヒモ等の罵声を浴びせられる……さすがに面と向かってそんなことを言うとは冗談だろうと思うかもしれないが、事実、web上でも、男性タレントが「主夫」を公言すると、そうしたコメントを非常に数多く目にして暗澹たる気持ちになる。しかし彼らはヒモでも穀潰しでもない。家事育児に主体的に取り組む男性、というだけのことだ。
秘密結社=公に主張が認められていない人たち。しかし杉山さんは自身の経験と重ね合わせて、「父親が子供と触れ合う時間は、きちんととるほうが良い」と考える。杉山さんのお父様は故人だが、今でも折に触れて「こういうとき、親父なら何て言うかな」とその存在に思いを馳せるという。そして杉山さんの二人の娘もまた、おそらく、「お父さんなら何て言うかな」と考える子供に育っていると自負している。家事育児に取り組み、子供と接する時間を多く持つことは、将来的にも子供の心に「お父さん」として確かな存在を残し、生きた証をつくることにつながると、杉山さんは語る。2017年には、より多くの男性がアワード候補になり、杉山さんらが選考に難儀するほど、「主夫」が増加することを望む。
(下戸山うさこ)
1 2