厳格すぎる父親から逃れて、自立したかった…。マンションを買うことで人生を切り拓いた女性の半生

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「女ひとり、家を買う。」Photo by Amanda B from Flickr

「女ひとり、家を買う。」Photo by Amanda B from Flickr

 女性が家を買うことは、資産を持つという実利的な理由に加えて、精神的な自立を目指す内的な理由もあるのではないでしょうか。誰かに頼る気持ちをきっぱりと捨てて、自分で自分の身を立てていこうと決心したときに、人は自分の住処を所有することを考えだすのかもしれません。

 今回取材した富樫さんが住宅購入に踏み切ったのは、厳格すぎる父から自立するためでした。富樫さんのその後をうかがいながら、女性の自立と住宅について考えてみたいと思います。

旅行関係会社勤務の富樫さん(56歳)の場合

【富樫さん&購入マンションのプロフィール】
富樫さん:1件目の住宅購入時は31歳、2件目は43歳。独身。実家は神奈川県。実家暮らしでも職場に通うことはできるが、親から離れるために1件目の家を購入。2件目は広さをアップする目的で、買い替えた。

[1軒目]
購入時の年齢:31歳
当時の年収:約450万円
所在地:川崎市区中原区 東急東横線「新丸子駅」 徒歩2分
専有面積:約28㎡
築年数:新築
間取り:1ルーム(間取りは9帖のLDK、個室トイレとバスルーム)
価格:2,500万円
共益費:11,000円(管理費と修繕積立合計)
月々のローン返済:月々約15万円 35年ローン(繰り上げ返済で入居6年目に完済)

[2軒目]
購入時の年齢:43歳
当時の年収:約780万円
所在地:品川区 東急目黒線「不動前駅」徒歩5分
専有面積:約56㎡
築年数:新築
間取り:2LDK(間取りは13帖の洋室、6帖のベッドルーム、1帖のウォークインクローゼット、3帖半のキッチン、個室トイレとバスルーム)
価格:3,630万円
管理費:7,800円
修繕積立金:7,800円
その他(CATV・マンション一括契約のネット環境):3,500円
月々のローン返済:月々約15万円 35年ローン(繰り上げ返済で入居10年目に完済)

富樫「実は月々のローンの返済額を、あまりよく覚えていないんです。早く完済したくて、どんどん繰り上げ返済していたので」

――1軒目は入居6年目で完済。買い替えた今お住まいの2軒目は入居10年目で完済しているんですよね。35年ローンなのに、ずいぶん急いで返済されたんですね。

富樫「2軒目も、実質的には入居6年目あたりで完済していましたが、預金連動型住宅ローンを利用していたので見かけ上、10年で完済になっているんです。10年間は所得税額からの控除があるので、ローン契約は継続しつつ、控除がなくなるタイミングで、完済の手続きをしました」

 住宅ローン減税はローンの残額の1%の金額が、住宅特別控除期間の10年間にわたり、税金から控除されます。預金連動型住宅ローンは、ローンの返済のための金額を預金残高として積むことができるローン。預金があれば繰り上げ返済と同様の効果を得ながら、住宅ローン控除をフルに受けられます。

――預金連動型だと、そういう調節もできるんですね。なぜ、それほどまでに早く返済できたのでしょうか。特に1軒目のときはお若く、年収も400万円台とそれほど高給ではなかったと思うのですが……。

富樫「仕事に没頭していたので、使う暇がなかったのです。その後も独り暮らしで子どもがいるわけでもないですし、月々の出費がだいたい読めるんですね。余ったぶんは返済に回していたら、結果的に早く返せました」

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