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厳格すぎる父親から逃れて、自立したかった…。マンションを買うことで人生を切り拓いた女性の半生

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富樫「それは分かります。でも今でも、がむしゃらに働けばローンは返せるものだとも思います。家を買ったからこそ、がんばれると思いますし、環境が整わなくては仕事もがんばれません。私の場合は、“父と離れて仕事に没頭する”環境をつくるために家を買ったのですが、正解だったと思いますよ」

――今の家を売ることを考えているとおっしゃっていましたが、その後の計画はありますか。

富樫「それは考え中ですが、そろそろ引退後のことを考えています。そんなに長く働くつもりはないので、いわゆる介護付きのマンションに入るか、実家の父親がもう亡くなっていますので、姉たちと実家に戻るか。どちらにしても老後の身支度をしっかりとして、あとは人生を楽しみたいです」

高く売るための準備を

――すごくポジティブですね。

富樫「そろそろ子育てなどで疎遠になっていた友だちも、子どもの手が離れてきたところ。再び一緒に時間を過ごせるんです。私も仕事で忙しい人生だったので、ゆったりと旅行に行ったりしたいですね。同時に2020年までに住んでいる家の水まわりなどに手を加えて、自分も使い勝手よく、いざ売るときにも高く売れるようにしたいと思っています。そういったことを考えていると、ワクワクしてきますね」

 仕事が第一の人生を送ってきた富樫さん。お家を購入したのも、お父様から干渉されずに仕事に打ち込む環境を手に入れるためでした。そこまでして仕事にかけてきたからこそ、引退後が楽しみだと言える余裕があるのですね。

 家を買うことには、地価の変化や、生活環境の変化などの不確定要素がつきものです。しかし、不確定なリスクを引き受けるかわりに手に入れるべきものがあるのなら、やってみる価値はあるのかもしれません。そして、人生の優先順位をはっきりと付けて何かを選び取ることは、人間としての自立につながるのでしょう。そんなことを感じた取材でした。

(蜂谷智子)

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