社会

アラサーは楽しい!資生堂インテグレート「25歳以上の女は…」と脅迫しないで

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女の子のほうが「大人の女」より楽しくてラクで幸せ?

 エピソード01は言わずもがな、2015年3月に燃えた「LUMINE(ルミネ)」のCMとまったく同じ構図である。首都圏で展開するショッピングセンター・ルミネの“働く女性たちを応援するスペシャルムービー”は、20代と思しき女性社員を、年上の男性社員が品定めしたうえで、女性側が「変わりたい、変わらなきゃ」とファッションやメイクなど美容のモチベーションを上げるもの。好きでもない男性の視線、つまり不特定多数の期待に応えるために、女性が見た目に気を遣うことを促す内容だった。その上、「女はいくら仕事を頑張っても、綺麗でいる余裕がなきゃ」。そりゃ炎上もする。

 今回のインテグレートも、「女性は仕事を頑張っても、見た目がダメだと失格」と消費者を脅迫する仕上がりで、なぜこれがアリだと考えたのかさっぱりわからない。なにしろインテグレートといえば、初代CMキャラクターはアンジェリーナ・ジョリー。媚びない、強い女のワールド代表だった。

 エピソード00も、とことん女性を馬鹿にしている前提を感じた。というか、「女は馬鹿」という思い込みありき。カホの台詞によれば、女性は不特定多数の男にチヤホヤされて喜びを感じるし、チヤホヤされてラクに世の中渡っていきたいし、自分より可愛くて若い女には嫉妬するし、自分より先に結婚する女にも嫉妬するし、「カワイイ」を最大の武器とする生き物。であるからして、若さを失い男にチヤホヤされなくなる分岐点・25歳(という設定)の誕生日を迎えたからには、10~20代前半のようにノホホン楽観的に生きてたら地獄を見るぞ、と煽っているわけである。東村アキコの『東京タラレバ娘』の登場人物が支配されている価値観と、よく似ている。若い女が優位だというエイジズム、男に愛されてナンボのセクシズム、他人の視線を何より重要視する価値観がそこに蔓延している。それこそ地獄である。

 25歳未満の「女子」は、努力しなくてもチヤホヤされてのびのび生きやすいというのも、誤解である。若い男性が努力をして、足掻いて前に進むのがデフォルトなのだとしたら、女性も同様だ。「若くて可愛い女は得だよなぁ」と思う人は、「自分たちは若い女子を特別扱いしている」という自覚があるからそう言うのだろうか。特別扱いなんか、してくれなくていいのに。

 もう「女の子」と呼ばれる年齢でなくなった以上、女性は美容に気を配らないと仕事でも認められないし幸福から遠ざかるんだぞ、という訴求は、脅しだ。25歳が分岐点だなんて昭和の価値観そのもの(クリスマスケーキ)だし、いい加減、呪いから解放されて2016年をのびのび生きている大人の女性だってたくさん、たくさんいる。資生堂にも、広告代理店にもいるはずではないのか。こうしたCMを制作する人間たち、つまり流行を生み出す立場にある広告業界のひとびとが、現実の女性を見ず、古い価値観に囚われていることに強い危惧を覚える。

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