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アラサーは楽しい!資生堂インテグレート「25歳以上の女は…」と脅迫しないで

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 ハフポスト日本版の記事では、資生堂は「CMの制作意図が十分に伝わらなかったため」差し替えを検討していることを明らかにしているが、その“制作意図”とは「(25歳前後の女性に)大人になることを前向きにとらえてもらい、そうした女性たちを応援するという気持ち」だったという。

 そこには、一般的には25歳前後の女性が「大人になることを前向きにとらえられない」という前提がある。なぜ、前向きにとらえられないのか? それこそまさに、このCMが表しているように、無遠慮な他人の視線(第一弾CMの上司)にさらされて不愉快な思いをしたり、年齢だけで年増扱いされたり、結婚するのしないので他者から干渉されたり、肌もカラダも若さを失って「女失格」の烙印をこれまた他者に押されたりするからではないだろうか。そうした抑圧からの解放へ導くことでしか、「大人になることを前向きにとらえる」ことはできないのではないか? しかし同CMのやり方は、抑圧を強めるだけである。

 以前、【「女子」を脅迫して誰が幸せになるのか? 不安を煽り消費を促すキャンペーンは、女の自尊心を破壊するだけ】という記事を掲載したが、インテグレートの広告もまた、女の自尊心を(商品ターゲットである若い層から)少しずつ、ジワジワ破壊するもののひとつといえるだろう。

 最後に、私は10代の学生生活もとても楽しかったし(当時、学校外の大人との交流=女子高生としてチヤホヤされる経験はなかった)、親元を離れた大学時代も開放感にあふれてパラダイスのようなひとときだったし、友達と朝まで飲んだり恋愛に溺れた20代も、仕事と家族を持って時間に制限のある30代の現在も、その当時は悩みもあったけれど、今振り返れば幸せな記憶だ。

 若い頃のほうが楽しかった、とは思わない。むしろ若い時分は今よりもずっと、他者の干渉に敏感に反応してしまっていた。20代半ばを過ぎてからは、他人の無礼な視線をほぼシカトできるようになり、ラクになった。つまり25歳は良い意味での分岐点だったと思う。肌は徐々にたるんできたし色素沈着もしやすくなったけど、大人になって本当に良かった。自由には責任が伴う。しかしその重圧を補って余りあるほど、毎日何かと楽しく過ごしている。我が子が巣立つ頃に私は40代後半だが、そこからまた人生が新たな展開をしていくだろうと夢想して、その日を待ちわびてもいる。

 雨宮まみさんが大和書房の連載「40歳がくる!」で「年上の人たちが楽しそうなだけで、年下の人間は希望が持てる」と書いていたが、まったく同意する。25歳の誕生日を迎えることは、なんらアンハッピーではない。若い女性には、誰のためでもなく、自分のために生きてほしい。

(下戸山うさこ)

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