連載

揺れる配偶者控除 今さら聞けない「配偶者控除」の仕組みをゼロからわかりやすく解説!

【この記事のキーワード】

いよいよ、「控除」が登場

 秋が深まると、「年末調整」という言葉が聞こえてきて、何やら表だらけの見るのも嫌になる横型の紙を会社から提出するように言われませんか? 「家族の名前を書くべきなの?」「生命保険の種類って何?」あの面倒な作業で登場するのが「控除」です。

 あの紙を提出すると、書かれた内容から税金が安くなるポイントを見事にあぶり出してくれます。税金が安くなるポイントとは、例えば「無職の配偶者がいる」「高校生がいるな」「障害を持った家族がいるのか」「生命保険に入っているぞ」などで、これらをひっくるめて「所得控除」と言います。

 控除という言葉の意味は「差し引く」です。先ほど解説した「所得」から、「所得控除」を差し引いたものを「課税所得」といいます。

課税所得=所得-所得控除

 ここで、ピンときた方もいると思います。課税所得とは、読んで字のごとく税金が課される所得のこと。あなたの税金は、この課税所得に税率が掛け算されて決まる仕組みになっています。つまり、課税所得が少なければ少ないほど税金も少なくて済むわけです。

 なお、式を見ればわかるように、所得控除が多ければ多いほど、課税所得は少なくなりますよね。所得控除とは、いわば「国が認める税金サービス」で、「配偶者控除」とはその1つなのです。

「配偶者控除」とは?

 先ほど「税金が安くなるポイント=所得控除」をいくつか紹介しましたが、これらを受けるためにはいろいろな基準があります。子どもの年齢で「扶養控除」が決まるとか、障害等級で「障害者控除」が決まるなどです。今話題の所得税の「配偶者控除」に関しては、パート収入なら103万円以下というのが現在の基準で、これは「103万円の壁」という表現で定着しています。

 「103万円以下」の基準を満たした配偶者(一般的には妻)がいる場合は、(一般的には夫の)所得から38万円を引いてくれるというのが所得税に関する配偶者控除の仕組みです。課税所得が38万円少なくなるので、当然税金も少なくなるわけです(先ほどの式を思い出してください)。住民税に関しても、数値は違えど、考え方は同じです。

 配偶者控除による効果、つまり節税額は、例えば年収500万円の場合、配偶者が無職か103万円以下のパート収入であれば、年間7万円ほどなります(今回は細かい計算を省略します)。思いっきり共働きをするのであれば、数万円の節税よりも二人分の稼ぎの効果の方が高いのですが、それが難しい場合は103万円以下のパート収入で抑えようという発想になる(=壁になる)ため「103万円の壁」と表現されているわけです。

 冒頭で「いま配偶者控除の議論が揺れに揺れている」と書きました。実は2016年9月9日に「配偶者控除を来年にも廃止にする」という安倍総理発言があったのですが、なんと1カ月も経たないうちに、廃止どころか「やっぱり150万円に拡大しよう」という正反対の話が持ち上がったのです。

 もし「150万円に拡大」という方向で仕組みが変更されたとしたら、単純に考えると、今までパート年収103万円以下に抑えていたけれど、150万円以下のところまで多く働く方も増えそうな気もしますよね。

 ところが悩ましいことに、「103万円の壁がなくなるならもっと働こう」と思ったパート主婦の目の前には、もう1つの壁が立ちはだかっています。それは、社会保険の壁……。次回は「社会保険の106万円&130万円の壁」について解説していきたいと思います。

1 2

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。