マンション購入の理由は、母の「結婚しろ攻撃」から逃れるため。母と離れ、自分の人生が見えてきた

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秋元「深く考えませんでした。もしも何かあっても、そのリスクは住民みんなで受けるものですし、何とかなるだろうと。それに私のマンションがあるのは、駅から2分の場所なので、価値がゼロになることはないだろうと思いました。購入した当時は先々のことよりも、とりあえず安心できる居場所を手に入れることの方が私にとっては重要でしたから、深く考えなかったのです。でも、住んでみて分かったことですが、古い物件は、修繕積立金がたくさん貯まっている場合もあるんですね。うちのマンションはそのおかげで、年末までに全戸のドアが一時負担金なしで交換してもらえることになっています

 築年数の古いマンションは、その時々の住人から徴収した修繕積立金が潤沢に蓄積されている場合もありますし、修繕積立金以上に修繕費がかかった結果、借金を抱えている場合もあります。同じ築年数のマンションでも、管理の状況はそれぞれなので、購入するときは、目安として、不動産業者に修繕積立金の蓄積状況や、修繕履歴を確認してもらうとよいでしょう。

もしかして私、アダルトチルドレン?

――実家から離れた今、どんな毎日を過ごしていますか。

秋元「好きな料理やお酒を楽しんだり、オフの日は興味のある分野の勉強会に行ってみたり。あと、今までそう考えないようにしていたのですが、自分がアダルトチルドレンではないかと感じていて、自助団体にも参加してみようかなと思っています。やっと自分自身を認めて行動することができるようになりました。そうやって自分に正直に生活するなかで、結婚するかしないかも、考えていければいいですね」

――とはいえ、実家からも遠からずの場所にお住まいですね。

秋元「そこはやはり母ひとり子ひとりなので、何かあったときには行ける距離にある物件を選んだんです。そして、2LDKを買ったのも、万が一母になにかあった場合、彼女を引き取ることもあり得ると思ったから。母との関係はしんどいものですが、縁を切るとか、そういった気持ちはないんです。そう考えると、今の家と実家の距離が、私と母の距離なのかもしれませんね」

 母と娘の関係は難しいもの。近すぎるがゆえにこじれたとき、お互いを蝕むことがあります。今回取材した秋元さんも、実家にいたままでは適正な距離感をとることが難しく、なかば逃れるようにひとり暮らしを始めました。

 安心して自分自身でいられる場所は、大人としての人格を育んでいくベースとなります。その場を持ちえなかった人が、家を買うことで居場所をつくろうとするのは、成長のための本能とも呼べるかもしれません。

(蜂谷智子)

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