連載

世界の男女格差ランキング111位。「女性が輝かない」日本の評価ポイントを読み解く。

【この記事のキーワード】

男女共同参画社会は「男女平等」ではない

 以上、『男女格差報告』の評価ポイントをざっくり紐解いてみた。『経済』以下、主に社会参画について調査する本レポートに対し、その取り組みを行う内閣府男女共同参画社会局を都度、引き合いに出して来たが、世界基準にはるかに遅れを取っている事実はご覧の通りだ。

 本レポートは、政治の舞台に男女を平等に配し、男女で職業を分けず、教育も健康も性別による格差も設けることなく、機会を均一に与える指針を根幹とする。今の日本は、残念ながらその実現には至らない。世界に評価されずとも、国民が幸福に暮らしているならば「たかがデータ」と一蹴するのも一興だ。が、日本の制度の在り方や体質に、実際に苦しめられている女性たちは多勢いるのだ。

 政府の提唱する『男女共同参画社会』は、男女格差を解消する国際水準の人道的ガイドラインであると同時に、日本の経済や生活水準を安定的に引き上げるための重要策である。現実問題として「そうしなければ立ち行かない」以上、女性の活躍促進は現代社会にとって必要不可欠だ。

 しかし、男女不平等のうえに成り立つ男性優位社会を前に、「そもそも男女は別の生き物。男には男の役割があり、女には女の役割がある」と、性別役割分担論を唱える者は少なくない。ゆえに葛藤が生じているわけだが、この性別役割分担意識が浸透しきったままでは、社会の男女格差は決して解消されない。男女共同参画社会反対派の中には、本レポート結果を「女性の社会参画が、結果的に無理だった証拠。やはり女性は社会に進出させるべきではない」と論じる方もいるが、「女性が社会に参画しなければ立ち行かない」、それが日本の現状である以上、「現実を見ろ」としか言いようがない。

 個々の主義主張や主観の女性像の都合に、全女性を付き合わせようとする観点そのものが“女性蔑視”。「そういう人がいるからこその世界男女格差111位」である事実を前に、「男VS女の小競り合い」を展開する論調にも、私は賛同しない。本件の世界基準より見れば「日本人の男女は諸共、(本レポートの指標では)111位」。身内で喧嘩している場合ではないだろう。

 今、必要なものは、時代や情報に“刷り込まれた”主観と、社会参画活動を冷静に切り離し、社会の焦点に向かって協力し合う視点だ。

 もとより『男女“共同”参画社会』は、『男女“平等”参画社会』ではない。「男女平等」を目指す指針であるならば、「2020年までに指導的地位の女性割合を30%にする」などとわざわざ世界水準に満たない30%の低数値を掲げたりはしない。50%ではない以上、どう考えても男女不平等だが、私自身はこの数字を「現実的で妥当」と読む。なぜなら、現状の『男女“共同”参画社会』の実現も遅々としているくらいなのだから、一足飛びに『男女“平等”参画社会』を提唱したところで、肝心の現場や国民が対応できないからだ。つまり、日本国民の意識を“不平等”より“平等”に向かわせるためには、まず“共同”のステップを用意する必要がある。ゆえに『男女“共同”参画社会』というわけだ。

 現在は“共同”の過渡期として、実生活や精神性等、様々な葛藤およびせめぎ合いが起こる。政府や企業、学校教育等の現場には、迅速な改善を要請するとして。我々国民は、このレポートが具に露呈してくれた結果を冷静に受け止め、「これからどうすれば日本の男女格差を解消できるのか」、「解消するために、自分は何をすればいいのか」「政府には、具体的にどんなポイントを要請するべきか」を、老若男女ともども、完全協力体制で議論することが肝要であると、私は考える。

 「それが出来れば、こんな結果は出ない」と仰る方には、「こんな結果を二度と出さないためにも、やるしかない」とお伝え申し上げたい。卵が先か、ひよこが先かの議論好きの議論にかまける暇もないので、「私は、男女格差を解消したい当事者として、やる」と断言しておく。また、往往にして感情論や個々の主義主張は、目的の実現の妨げとなる。冷静かつ現実的な視点で『男女“共同”社会』に参画したいところだ。

 「そう冷静でいられるか」と怒る女性もいるかもしれない。仰る通りだ。私は、今、本件の結果および現在の日本の男女格差社会の在り方に、めちゃくちゃ怒っている。女性として悔しいし、この期に及んで男性の優位性を滔々と述べる男性には、彼の精神が崩壊するまで口汚く罵倒してやりたい気持ちでいっぱいだ。しかし、私はこれを堪える。今後の社会を改善するために必要なことは、個々の感情の垂れ流しや自尊心からの脊髄反射ではなく、冷静な現状把握。そして、改善を実現するための現実的な解決に対し、大局的かつ理性的に頭を使うことに他ならないと考えるからだ。今日日、怒るにも知恵がいる。

 最後にいつもの台詞で締めたい。女性たちよ、かけがえのない自分の人生、男性優位社会に“輝かさせられる”隙を与える間もなく、勝手に輝こう。

1 2 3

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。