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日本のトップスクールが男女不平等を拡大させているという罪

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まとめにかえて―東京大学卒業生として思うこと

 私も東京大学の卒業生ですが、その多大な恩恵を受けています。

 人的資本という点から言えば、大学4年生の時に国際教育協力の第一人者の先生の授業を受講でき、かつ進路に関する詳細な助言を頂けたおかげで、23歳という異例の若さで世界銀行へ行くことが出来ました。

 シグナリングという点から言えば、私はそれほど豊かな家庭出身ではないですが、国際機関で働くために必須である修士号を取得する際に奨学金を得られたことは、東大卒というシグナルが大きく貢献してくれたと思います。

社会関係資本という点から言えば、同じ授業の受講者たちと始めた勉強会で、多くのことを学びました。さらに、それから10年たった今でもその仲間たちとネパールの子供たちに質の高い教育を届けるためのNGO活動を展開できています。これは、まさに東京大学という機会がくれた社会関係資本の賜物だと言えます。

 高校時代、家庭教師などをしながら必要なお金を稼いでしました。受験料がもったいなかったので出願したのは東京大学の前期だけですし、受験に失敗したら翌年は地元の大学に進学する約束を両親としていました。その後、ほぼ合格最低点で東京大学に入学できたことが分かったのですが、入試の時にあと一問でも間違えていたらこうして国際機関で働き世界中を飛び回ることもなかったでしょうし、NGOを立ち上げることも、この記事の執筆をしていることもなかったはずです。

 トップスクールが与えてくれる大きなチャンスを紙一重のところで掴んで今に至るからこそ切に思うのですが、日本のトップスクールが、世界のトップスクールと異なり、その恩恵をジェンダー格差、ひいては経済格差の解消のために活かそうとしない罪は許されないものです。特に、東京大学の女子学生比率が世界的に見ても異例の低さに長年留まっているのは、卒業生として大変残念です。教育の需要側である生徒たちに介入することで女子教育の拡充を図ることが最重要ではありますが、教育の供給側である学校機関も、現状のままで本当に日本の繁栄に貢献できるのか、そのあり方を猛省すべきでしょう。

まとめ

旧帝国大学はどこも女子学生比率が1/3未満で、東京大学に至っては20%にも満たない
生徒の男女比が半々であるのは、トップスクールのグローバルスタンダード
トップスクールを卒業するメリットは、人的資本・シグナリング・社会関係資本と多岐にわたる
日本の公教育支出は格差を縮小させるどころか、むしろ拡大させている
大学側にもジェンダー格差を解消しようとするコミットメントが欠落している
日本にはエリート女性が欠如している

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