デフレ化する「LGBTフレンドリー」~電通過労死事件とエリート・ゲイ写真から考える「働きやすい職場」

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職場でのLGBT施策は、たしかに必要。

昨今、さまざまな企業で「LGBTの働きやすい職場環境」についての取り組みが始まっている。日本中、どこの職場にもLGBTの社員は存在するだろうし、自分を押し殺して就労することは、その人のメンタルヘルスを悪化させ、就労意欲や業績やらを削ぐ。それなら少しでもマイノリティの人間が働きやすくなるように社内制度を見直し、社内での理解を促進したほうが、企業にとっても労働者にとってもメリットがある。つまり「LGBTが働きやすい職場環境」への取り組みは、誰にとっても重要なテーマであることには間違いない。

これらの変化は、ボトムアップ式――つまり、社員のカミングアウトや突き上げ等による地道な変容としてあらわれることもあれば、組織としてトップダウン的に行われることもある。私の知人は、男性として生きることへの違和感に耐えきれず、ある朝突然女性の格好をして出社した経験を持つ。凍りついた同僚たちが何も言えない中で、沈黙をやぶったのは、上司の「おれもまだ理解はできないが、今日こいつがこうして来るのにどれだけ勇気と覚悟がいったかぐらい分かる。仲間なら、それにこたえるべきじゃないのか」という一言だった。このような突き上げ型にせよ、人事主導のダイバーシティ推進プロジェクトにせよ、正面から多様性の問題をきちんと扱おうとすれば、当事者や周囲の人たちの声がきちんと聞かれる場を作り、地道な取り組みを重ねていくしかない。担当者はどうしたらよいか分からず困惑することも多々あるだろう。

その意味で、冒頭のような「LGBTと職場環境について考えるイベント」が大々的に開かれ、大企業からも多数エントリーがあり、会場を600人以上が埋め尽くしたということは第一義的には、本当に素晴らしいことだと言える。

そんな中で、ゴールド賞の乱発かつ、あきらかなブラック企業までもが「LGBTの働きやすい企業」にランクインという現象が起きてしまったのは、これは「このような報酬でもないと、企業担当者が内部で報われないだろう」「他の企業が追従しないだろう」というイベント主催側の思惑も垣間見える。一定の路線さえクリアできれば、「他のイシュー」には目をつぶって構わないという姿勢や、一種の“正しさ”がそこにはあるのだろう。

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