社会

「普通」の人々の怒り 大統領選がみせたアメリカの分断は他人事ではない

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「大統領候補の資質としてどれが重要ですか?」という質問に対して、「変化をもたらしてくれる」と答えた人は14%がクリントン氏、83%がトランプ氏に、「適切な経験を持っている」と答えた人は、90%がクリントン氏、8%がトランプ氏に、「良い判断ができる」と答えた人は66%がクリントン氏、26%がトランプ氏に票を投じました。また「今の経済状況をどう思いますか?」という質問で、「良い」と思っている人の77%がクリントン氏に入れ、18%がトランプ氏に入れましたが、「悪い」と思っている人では31%がクリントン氏に入れ、63%がトランプ氏に入れました。これらCNNの出口調査から読み取れるのは、社会的・政治的正しさや経験を重視する人はクリントン氏に入れ、変化を望んだ人、現状に不満を持っていた人は、人としては嫌いな候補だと思いながらも、トランプ氏に入れたということです。

今回の選挙結果は、グローバリゼーションにより仕事が奪われ、一向に良くならない日々の生活に鬱屈とし続けてきた人々の抗議の結果でもあります。高学歴、高収入、政治的に適切な経験と人脈を持ち、「ポリティカルコレクトネス」つまり「政治的正しさ」を意識して行動する支配階級ともいえるクリントン家のような人々に独占されてきた政治に対する怒りを、投票を通じて表明したともいえるでしょう。

CNNの出口調査によれば、29歳以下の白人で、トランプ氏に入れた割合は48%ですが、45−64歳は63%でした。また教育レベル別にみると、例えば白人女性の場合、大卒の51%がクリントン氏に入れたのに対して、非大卒は62%がトランプ氏に入れています。さらに、収入別に投票行動を見ると、非都市部の地方に住む白人の労働者階級・中間層の人々が圧倒的にトランプ氏を支持していたことがわかります。彼らは、貧困層に陥るかもしれないという不安を抱きながら、つつましい生活を送り、日々「何かおかしい」「なぜ自分の生活は良くならないのだ」「なぜどんどん苦しくなっていくのだ」といった不満とともに出口の無い鬱屈とした生活を送っています。自分たちを差し置いて社会的成功を収めているように見える都市部の移民やマイノリティ、そして政府からの支援を受けている貧困層を見て「奴らは社会的に保護され、優先されている。奴らばかりずるい。奴らが自分たちの仕事や金を奪っているのだ。この状況は俺たちに対する逆差別だ」と感じているのです。

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