連載

「面倒な女」に対してだけ勃たなくなる現象/中村うさぎ×二村ヒトシ×枡野浩一【1】

【この記事のキーワード】

「そのときは“セックスは楽しいね”って言ってた」(枡野)

枡野 う~ん……。

中村 枡野さん、なんか、お坊さんみたいな顔して(笑)。

枡野 僕はそんなことは一度もなかったなぁと思って。

中村 ほんと? 人生で一番セックスしてた時期でも?

枡野 あの、結婚中はいっぱいしてましたよ、ひと夏は。

二村 人生におけるひと夏なんだ?

中村 蝉みたい……。

二村 そういう生き物なんじゃないの、枡野さん? 70~80年生きる中で、ひと夏だけセックスをする生き物。

会場 (大爆笑)

中村 SF的なね。

二村 蝉的な。

中村 異星人(笑)。

枡野 あのね、当時のことを知ってる人に言わせるとね、「枡野くんはそのとき、“セックスって楽しいね”って言ってたよ」っていうの。

二村 ああ~!

枡野 だけど自分でも、そう言われる前はそんなこと忘れてたし……。「そうか、ひと夏は楽しかったんだ」と思って……。

二村 そのときはキスもしてたの?

枡野 してましたよ。だって僕、駅で別れるときにキスをして、女子高生に見られたこともあるもん。

二村 ほお~。岡田斗司夫さん[注]みたいですね(笑)。

枡野 (その頃の僕は)スキンヘッドだったから、さぞかし気持ち悪かったと思いますよ。

中村 今だって気持ち悪いよ!

枡野 まぁね。

中村 やめよ、外人じゃないんだから。

枡野 や、それは義理でやってたんですけどね。

中村 セックス?

枡野 いや、キス。むこうが望むから、女子高生見てるけど、やらなきゃなって思って。頑張ってやったんですけど。

二村 そのキスのお相手は(当時の)奥様ですか?

枡野 うん、奥様。

二村 やっぱり外でキスすることで興奮する方だったんですか、奥様は?

枡野 う~ん、僕もちょっと新鮮だったから。あまり経験がないまま結婚したので。そっか~、自分も人前でキスすることあるんだなぁ~って、頭の中は賢者タイムで、そう思いながらしてました。

二村 セックスってやっぱり引きずられるんですかね。枡野さんも彼女がいたから……

枡野 や、そのこと(元奥様とのセックス関連のこと)は本(『愛のことはもう仕方ない』[注])に書かなかったんだけど、もっと本当は編集者の人とかは書いてほしかったと思うんだよねえ。

二村 そうだよ。その後、男性ともちょっと「してみた話」とかもさ……

枡野 男性とのことはねえ、書こうと思えば書けたんだけど。とにかく書こうと思った人には了解をとろうと思って。男の子は意外とOKだったの。女の人がほとんどもう連絡つかなくなってて。数少ない人たちなんだよ。それで、男の子とのことばっかり書いてたら偏った本になっちゃうし。

二村 まぁ、二丁目で売れる本になってしまう。

枡野 そう。それでそれはちょっと別の本にしようと思って、書かなかった。

中村 で、まぁ一番セックスしてた結婚時代は、セックスに依存してる感じはなかったの?枡野 まぁ、珍しかったから。むこう(奥さん)がカラダ目当てだったからね。そんなことを(女性から言われたことは)人生でないし、僕ごときのカラダ目的でセックスしてくれるなんて嬉しかったからさ、なるべくリクエストにお応えしたかったの。だから最初は頑張ってたから……。

二村 頑張るって、EXILEのように腰を振ること?(笑)

枡野 そうそう。あと、こんなことどんどん言っちゃうとすごいむこうに失礼なのかな?

中村 いや別にいいよ。

枡野 ……まぁ、わりと積極的なひとだったんですよ、むこうが。わざと他人がいるときとかにしようとしたりするんだよ。

中村 お客さんが来てるときとかに?

枡野 こんなこと言っていいの?

中村 フィクションじゃないよね? ノンフィクションだよね?

枡野 うん。例えばエロ漫画でさ、電話をしているときにしゃぶったりするとかあるでしょ?

中村 あるあるある!

枡野 ああいうことすんのよ。

二村 グフフフフ(笑)。

枡野 覚えてるもん。ある仕事のときに、しゃぶられながら、「はい、はい」って打ち合わせしたの。その仕事がどれかもいえるんだけど、そんなこと書いちゃうと生々しいじゃない。
あ、でも(元奥さんが)漫画にも描いたけどね。Mくんっていう、こう前髪が長くてずっと顔を隠してる男の子の主人公が、ワープロ打ってるときにしゃぶられて射精するっていう漫画。それをうちの両親が読んだらしくて。妹が、「お兄ちゃん、Q太さんの漫画はうちの親には刺激が強すぎるみたい……」って教えてくれたくらいだもん。

中村 あ~、そのMくんが枡野さんなんだ?

枡野 僕以外にありえないように描いてるから。

中村 興奮した? そのチンコ……

枡野 出来事はね、出来事には興奮したけど。描かれると、みんな読んじゃうから、友達が。みんながニヤニヤしてて嫌だった。

会場 (笑)

中村 二村さん、こういうの好きそうじゃない?

二村 ……いや、それは、もしも彼氏がいる女性と仲良くなったとしますと、一緒に彼女の部屋にいるときにちょうどその女性の携帯に彼氏から電話がかかってくることもありますよ。そしたら、まぁ勃起しますよね。そしたら電話させながらハメますよ。

枡野 う~ん、そんな(劇団)「ポツドール」[注]の演劇みたいなことを……。

二村 あ、「ポツドール」にそんなネタがあるんだ?

枡野 そういうのをやりそうな……。

中村 やりそうだね。でも、これただの変態トークじゃん(笑)。

枡野 でもそういうことってさ、世界にはあるんだろうけど自分にはなかったから、新鮮さはあったの。

二村 いやいや、それで枡野さん、喜ぶ女がいるんですよ!

中村 あ~、いるのかなぁ。

二村 そ知らぬ顔で彼氏と会話をしながら浮気相手に貫かれることで、喜んでくださる女性が……世の中にはいるんですよ!

枡野 なるほどね。でも僕だって山本直樹[注]の漫画の主人公になった気持ちでしたよ。

中村 あ~、山本直樹ね、わかる(笑)

枡野 まぁ実際には南Q太[注]の漫画の主人公なんだけど。

会場 (大爆笑)

【第1回の注釈】

■『あとは死ぬだけ』(太田出版)
中村うさぎの「形見分けの書」ともいわれる最新エッセイ。幼少期から作家になるまで、結婚・離婚・再婚、買い物依存症・美容整形・ホストとの恋愛・デリヘル体験etcと自らの「女の一生」を書きつくしている。≪私はついに賢者にはなれなかったが、愚者としては生き生きとした人生を歩んだと思う。だから明日死んでも満足だ≫(本文より)

■『日本人はもうセックスしなくなるのかもしれない』(幻冬舎)
二村ヒトシと湯山玲子が「“セックスは面倒くさい”の背景に何があるのか?」を語りあう刺激的な対談本。語られるテーマは――≪日本に蔓延するセックスへの絶望/自分の中の暴力性を嫌悪する男性たち/性行為中に「首を絞めて」という女性が増えている/セックスに不自由しない男性はなぜ嫌われるのか/男性に好かれるために女性はバカなフリをし続ける/日本には、母子密着とセックスの間のスキンシップがない…≫等々。

■湯山玲子さん
作家・デイレクター。1960年生まれ。男女論のみならずクラブカルチャー、映画、音楽、食、ファッションなどにも詳しい。著作に『女ひとり寿司』『クラブカルチャー!』『文化系女子という生き方 「ポスト恋愛時代宣言」!』『男をこじらせる前に 男がリアルにツラい時代の処方箋』などがある。

■岡田斗司夫さん
作家・評論家・プロデューサーなど多岐にわたり活動。1958年生まれ。通称:オタキング。(株)ガイナックス元代表取締役社長、東京大学教養学部非常勤講師、大阪芸術大学芸術学部キャラクター造形学科客員教授などを歴任。2015年に「愛人女性」とのキス画像流出を発端に女性関係問題が発生、自身も「愛人は現在9人、過去最高80人」等と発言、さらに「愛人リスト」とされる物も発覚するなどし、ネットを中心に炎上スキャンダルとなった。

■『愛のことはもう仕方ない』(サイゾー)
messy連載『神様がくれたインポ』を基調とした枡野浩一の最新小説。日々コーヒーを入れ、日々まるで一週間前のことのように13年前の離婚を思い出し、会えないままの息子を思う、そんな自らの日常を極限まで事実に即して描いている。宣伝コピーは、<嘘つきな男たちへ。正直者を受け入れられない女たちへ>。 中村うさぎによる帯文は、≪人があなたを理解してくれないなんて、当然ではないですか!≫。

■劇団ポツドール
男女の恋愛や生き様をドキュメンタリー的手法を導入して生々しく描くことで評価の高い演劇集団。乱交パーティを舞台にした『愛の渦』では主宰・演出・脚本の三浦大輔が「岸田戯曲賞」を受賞し、三浦の監督・脚本作品として映画化もされた。

■山本直樹さん
漫画家。1960年生まれ。成人向け漫画を執筆する「森山塔」のペンネームも持つ。1991年に『Blue』が東京都青少年保護育成条例・有害コミック指定を受けた初の作品となり、「有害コミック論争」へと発展する。2010年には「連合赤軍事件」を題材にした 『レッド』で第14回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞している。二村の著書『なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか』(イースト・プレス)の装画と挿画も。

■南Q太
漫画家。1969年生まれ。枡野浩一の元妻。代表作に『ぼくの女に手を出すな』『さよならみどりちゃん』『クールパイン』などがある。

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■中村うさぎさん
作家・エッセイスト。1958年生まれ。雑誌ライーター・ゲームライターを経て、『ゴクドーくん漫遊記』シリーズで人気ライトノベル作家となる。その後、自らの「買い物依存症」を描きつくしたエッセイ『ショッピングの女王』でエッセイストとしても大人気となる。その後もさらに「美容整形」「ホストとの恋愛」「借金と税金」「デリヘル風俗」など自らの実経験・実体験を通じての赤裸々なエッセイを発表し続けている。2013年に100万人に1人ともいわれる難病「スティッフパーソン症候群」を発症、現在も治療を続けている。最新著作は「形見分けの書」とも表明しているエッセイ『あとは死ぬだけ』。メールマガジン『中村うさぎの死ぬまでに伝えたい話』も発行している。

■二村ヒトシ監督
AV監督。1964年生まれ。慶應義塾大学在学中より劇団『パノラマ歓喜団』を主宰する一方、AV男優としてもデビュー、多数のAVに出演する。劇団解散後はAV監督となり、女が男を攻める「痴女モノ」や美少年が女装する「女装子モノ」の第一人者といわれるなど、現在に至るまでAV業界の第一線で活躍している。男女の恋愛と自意識をテーマにした著書『すべてはモテるためである』『あなたはなぜ「愛してくれない人」を好きになるのか』がベストセラーとなり、セックスと恋愛をめぐる論客として注目を集める。さらには、男性のアナルを開発する器具『プロステート・ギア』のプロデュースも手掛けている。AVの代表作に『美しい痴女の接吻とセックス』など。最近の著作は対談や鼎談が多く、『オトコのカラダはキモチいい』(金田淳子・岡田育との共著/KADOKAWA)、『日本人はもうセックスしなくなるのかもしれない』(湯山玲子との共著/幻冬舎)、『モテと非モテの境界線 AV監督と女社長の恋愛相談』(川崎貴子との共著/講談社)、最新刊に『秘技伝授 男ノ作法』(田淵正浩との共著/徳間書店)などがある。

(構成:藤井良樹)

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