政治・社会

いつまで「25歳」に捉われる? 日本のコスメCM vs. 革新を目指すアメリカコスメCM

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 ランコムの黒人スポークスウーマンの抜擢は近年、黒人女性にも中高所得者が増え、かつ彼女たちがコスメに相当の額を投資する傾向を見越してのことだった。そうした高等教育を受けて収入の良い職に付き、可処分所得を持つ女性たちを惹き付けるために、ルピタの「錚々たる学歴」「郊外中流家庭育ちの上品さ」「ファッションセンスの良さ」は重要な要素だったのではないかと思える。

 それにしてもランコムとルピタの肌の色の取り合わせは衝撃だった。過去にドラッグストア・ブランドの広告に登場した黒人モデルは皆、肌の色が薄かった。そのほうが一般受けするからだ。また、ダークスキンは撮影が難しいというテクニカルな理由もあるだろう。そうした過去のルールをすべて取り去り、ルピタほどダークかつ美しい肌を持つ黒人女性が高級コスメ・ブランドのポスターに抜擢されたことは、いまだに新鮮な驚きなのである。

 アメリカにも「女は若いほどいい」という偏見はもちろんあるが、それを象徴する特定の年齢はない。日本では年齢と学年が完全に一致し、新入社員の年齢も同じ。そこにキリのよい数字でモノゴトを区切る習慣と極端な男尊女卑の風習が重なり、生み出されたのが「25歳」ではないかと思う。この一斉に「区切る」文化が問題の根源になっているケースは他にも少なからずある。今後、日本も学校の入学年齢・飛び級・留年・留学・休学・専攻の変更・復学、そしてギャップイヤーなどに鷹揚になれば、人それぞれのペースで学ぶことが出来、同時に年齢・学年・就職の横並び現象が減るはず。女性へのステレオタイプを淘汰する努力と共に、こうした社会の “常識” を変えていくことも、長い目でみればひとつのテかもしれない。

 ちなみに前出のカヴァーガールのCM、出演者がバラエティに富んでいるのは性別・人種・宗教だけではない。年齢も10 代、20代、30代、40代が混在している。ランコムのルピタ・ニョンゴも童顔だが、女盛りの33歳だ。

 結論:デパート・ブランドのランコム、ドラッグストア・ブランドのカヴァーガール。価格帯と顧客層は違えど、それぞれに革新的な広告を打ち、女性に対する既成の概念を打ち破ろうと頑張っているのである。
(堂本かおる)

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