ちょっと待って! そのケガ、本当に健康保険でいいの? 意外と知らない労災保険の威力

【この記事のキーワード】

意外と知らない労災保険の威力

 労災という言葉は広く知られていますが、中身について意外に知られていないことがあります。3つピックアップしてみました。

★労災保険料タダ!

 給料明細を見ると、保険料や税金が天引きされていますが、絶対に「労災保険料」という項目はありません。労災保険料は全額お勤め先で払ってくれているので、自分は一銭の負担もなく仕事に関する病気やケガの保険に入っているということになります。自営業、フリーランスには業務災害も通勤災害もないので、お勤めすることのメリットとも言えるのではないでしょうか。小さな会社や個人事業主も人を雇った時点で必ず労災保険に加入するルールがあるので、職場の規模も関係ありません。

★アルバイト、パート、派遣でもOK!

 国の保険となると、正社員だけかと思いきや、アルバイト、パート、派遣社員、契約社員など、名称は問わずお勤めしているみんなが対象です。しかも、長期短期は問われないので、1日だけのアルバイトでもOKです。もちろん学生も可。レストランでのアルバイト中、包丁で指を負傷した方が健康保険で診察・治療を受けて自分で支払った話を聞いたのですが、これはどう考えても業務災害に認定されるでしょうね。

★仕事の帰り道に飲みに行ったらNGだけど、髪を切りに行くのはOK!

 職場に届け出しているいつも通りの経路を使って真っ直ぐ家に帰っている途中で負ったケガはもちろん労災の対象になりますが、飲みに行くなど、完全に仕事と関係のないことが始まった場合は、その時点で以降の帰り道はNGとなります。でも、仕事と関係のない寄り道が、日常生活を送る上で必要な行為と認められれば、元の帰路に戻った後の経路は対象になります。例えば、「誰でも髪は切るよね」ということで、帰り道に美容室に寄るのはOK。他にも、お惣菜を買う、クリーニング店に寄るなども認められます。

もしものときは、助けてもらおう労災保険

 軽いケガから、最悪亡くなった場合まで、本当に手厚い労災保険。しかも、保険料もかからないので、もしもの時はかなり頼もしい保険です。

 でも、ビックリする発言をしばしば耳にします。それは、「会社に悪いので言えない」というもの。よく聞いてみると、会社はお金がないので、あらゆるところで経費を削っている。労災を申請するなんてできないというのです。そんな心配はいりません。会社は、保険料を収めているだけで、あなたの治療費などの給付はしていません。つまりあなたが労災保険を使っても会社の懐は痛まないのです。

 また、「面倒くさい」という話も聞いたことがあります。確かに健康保険証より少しの面倒はありますが、それで医療費の3割を自分で負担しなくてはいけないのは大き過ぎます。当然の権利ですし、何のための労災保険かわかりませんから、軽傷であっても助けてもらいましょう。もしも、最初に健康保険証を出して支払いをしてしまった後でも、労災に切り替えるような手続きもありますので、ご安心ください。

 そして、最近よく聞くのが、「これってパワハラじゃないですか!」「ブラック企業だ!」という主張。パワハラや長時間労働が原因でうつ病になったと認められれば、今年大変話題になった電通の女性社員の例もあるように、業務災害になり得ます。

 でも、パワハラが原因でお酒を飲み過ぎて病気になったとか、長時間労働のせいで階段から転げ落ちたなど、ちょっと判定が難しそうなケースも少なくありません。病気やケガという大変な事態になる前に、人間関係や働く環境はどうにかならなかったのか……と感じるケースが以前よりも増えています。心身ともに健全な状態で勤務していることが前提で、もしものときは労災保険に助けてもらいましょう。そこに遠慮はいりません。

 これからどんどん寒くなって、雪が降る日も増えていくでしょう。思いがけないケガを負うこともあると思います。そんなときこの記事を思い出して「このケガは労災保険の対象かな?」と考えてみてくださいね。

1 2

「ちょっと待って! そのケガ、本当に健康保険でいいの? 意外と知らない労災保険の威力」のページです。などの最新ニュースは現代を思案するWezzy(ウェジー)で。