
つるの剛士公式ツイッターより
タレントのつるの剛士氏が、『保育園落ちた日本死ね』が流行語大賞TOP10に入り、衆議院議員の山尾志桜里が受賞したことに対して「『保育園落ちた日本死ね』が流行語。。しかもこんな汚い言葉に国会議員が満面の笑みで登壇、授与って。なんだか日本人としても親としても僕はとても悲しい気持ちになりました。きっともっと選ばれるべき言葉や、神ってる流行あったよね。。皆さんは如何ですか?」とツイートし批判が殺到しました。つるの氏は「いくら政権に罵倒しようが、その人本人のココロの中の貧しい言葉が有る限り政権変わろうが永遠に貧困から逃れられないよ」と炎上に油を注ぐようなツイートまでしています(該当ツイートは「あまりにもしつこく執拗に絡まれているので削除しました」とのことです)。
その後、つるの氏が2014年4月に一般社団法人西尾青年会議所の親学研究・実践委員会が主催する「親学のススメ」というイベントに参加していたことが発覚します。実際にどのような思想をつるの氏が持っているかは不明ですが、他にも長野県にある松本青年会議所が主催する「親学」を紹介するイベントにもゲスト参加していることが確認できます。
「親学」とは、親学推進協会の会長・高橋史朗氏が提唱するトンデモ主張に基づく思想で、「親学推進議員連盟」には多くの議員が参加しているといわれています。ざっくりまとめると「育児の責任はすべて親にある」という思想で、「子どもの発達障害は育て方で予防できる」という主張がたびたび話題になっています。高橋氏は、明星大学特別教授、モラロジー研究所特任教授、麗澤大学道徳科学教育センター客員教授などを務めており、現政権にも近い人物として知られている人物です。
高橋氏の肩書きだけみると、権威ある立派な思想のように思われますが、「親学」は社会科学、自然科学の研究者はもちろん、教育者からも「トンデモ疑似科学」と批判されています。「親学」は抽象的な教育論ばかりを振りかざしており具体的に何を指す思想なのかは曖昧ですが、トンデモ疑似科学とされるのには理由があります。例えば高橋氏の『脳科学から見た日本の伝統的子育て―発達障害は予防、改善できる』(モラロジー研究所)という著書には、脳科学どころかいかなる科学的根拠にも乏しく、発達障害に対する偏見を助長する内容ばかりが記されています。
高橋氏はまるで「伝統的な育児が忘れられた。いまの親は愛情不足で育児に問題がある。だから発達障害が増えた」というような主張をしていますが、発達障害は遺伝や先天的な脳の機能によって起こる症状であって、育て方の良し悪しで起こるものではありません。発達障害はなるときはなるし、珍しい病気でもなんでもありません。子どもに発達障害と疑わしき症状があったときに親がすべきは、しかるべき専門家に相談することであって、自分の育児に問題があったのではないかと頭を悩ませることではありません。高橋氏の主張は、育児に悩む親をさらに追い詰めるものです。