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先輩ママのネガティブな次回予告「産まれてからの方がもっと大変だよ」は何を意味しているのか

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脅し文句に使うべきではない

これは私の周りの友人が特殊なわけではないのだと思う。

ネットの質問掲示板などを見ると、初めての妊娠に戸惑う初産婦が、身体の様々な不調を相談すると、「大丈夫です、産まれてからの方が大変です」とか、「産まれたら一人の時間なんてなくなるから、今のうちにエンジョイして☆」とか、訳のわからない断言で、全く答えになっていない回答がズラーッと並ぶ。

そんな未来のことはいいから、どんな対策をしたら良いか、どうすればラクになったかの体験談や、産婦人科以外の科やクリニックを受診したら良いなどの情報を教えてほしい。

おそらく相談者は「今」を乗り越える術が欲しくて質問しているのだ。

産まれてからがどうであれ、とにかく「今」辛い思いをしている人に対して、なぜ、もっと先にある辛さを覆いかぶせ、追い打ちをかけるのだろうか?

「そうか、まだまだこの辛さは序の口なのか! じゃあ頑張ろっと☆」なんて思えるとしたら、相当なマゾヒストだ。

私が見たネットの一番酷い回答は、「そんなのまだ序の口。その程度で音を上げてるならあなたは母親としてまだまだです」というものだった。

まるで地獄である。こんな言葉ばっかり浴びていたら、子育てに臨む覚悟をキメるどころじゃなく、不安でいっぱいになってしまう。

足し算ができなくて悩んでいる小1に向かって、小3が「割り算はもっと難しいよ。足し算ができないんじゃ全然ムリだよ」と言ったところで、小1は足し算ができるようになるだろうか? それどころか、むしろ算数そのものが嫌になってしまうのではないだろうか。

どんなに言葉を取り繕ったところで、彼女たちの言葉は、心身不調で困っている妊婦に追い打ちをかけ、心を折ろうしている行為でしかないように思う。

妊娠も出産も子育ても、今目の前にある一個一個を乗り越えるからこそ、結果的に越えていけるものだろう。

妊婦にとっての未来、つまり彼女たちの今(育児)が辛いというのは、当人が“今”乗り越える課題であって、脅し文句に使うべきではない。

でも、なぜ、先輩ママとやらは、自分が乗り越えた過去の地点にいる友人を、「まだまだ足りない」かのような扱いをするのだろう。

まだまだも何も、自分だってその時は「初めて」だったはず。今を乗り越えるのに必死だったはずだ。

もしかしたら、「乗り越えた自分の凄さを認めてほしい」という、自己顕示欲なのだろうか。

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