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先輩ママのネガティブな次回予告「産まれてからの方がもっと大変だよ」は何を意味しているのか

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妊娠が判明してから出産に至るまで、約9カ月。
この9カ月という時間は、いつのまにか数年経ったかのような感覚に陥るほど、しんどいことの連続だったと語る経産婦も少なくない。

育児もそうだ。

2歳の子を持つ私の友人は、「周りは“あっという間に2歳か~!”って言うけど、私からすると“まだ2年か”という感じ」だと言っていた。
短いようで、長いのだ。

女性は人生のうち、わりと長い期間と、とんでもない労力を「妊娠」「出産」「育児」にあてるというのに、それに対しての称賛は、あまりなかったりもする。

昔から女性は、出産して当たり前、子育てして当たり前……という風習があるから、傍から見たら「女性として生きる過程をただ通ってるだけ」と思われがちだ。

でも実はその「当たり前」がとんでもなく荷が重く犠牲にするものも多く、並々ならぬ努力の繰り返しだから、「世間のイメージ」と「実際」の温度差が激しすぎて、「とにかく労われたい」「褒めてほしい」という願望が常に叶わず、不満のかたまりになってしまう母親もいるのではないだろうか。

夫にはわかってもらえない。実母にこの願望をぶつけても、ずっと昔に乗り越え済のことだから「やれるはず」と言われて終わり。子ナシの友人にはリアリティを持って受け止めてもらうことは難しい。

単に褒めてほしい、労ってほしいだけなら母も含め、苦難を知る先輩ママが労ってあげるサイクルを作ればうまくいくが、「手慣れた自分」を評価してほしい場合、対象は「同等・またはそれ以上にスキルがある人間」であってはいけない。

そこで「自分が乗り越えた事実」を純粋に称賛してくれそうな対象として、「大変さを共有できる、自分より経験値が少ない人間」……つまり、「妊婦の友人」「自分より後に出産した友人」が吐き出す相手に選ばれてしまうのかもしれない。

私も妊娠前は、出産した友人の存在はただ漠然と神々しく感じただけだったが(今思えば幻想に縛られていた)、自分が妊娠してからは出産済の友人のことをリアルに「すごい存在」で、尊敬の念を抱いた。

しかし、前述のような「尊敬して!何でも聞いて!見上げて私を!」のアピール攻勢に、ただでさえ妊娠中で気が滅入っていた私は、付き合いがただただ面倒になってしまった。一番キツくなった9カ月のときに「つらい」と返事してしまったこと以外はなるべく意識的に距離を置くようにしたが、どう付き合うのが正解だったのだろう。

妊娠期間が終わり、出産を経て今まさに育児真っ只中の私が思う事。

「産まれてからの方が辛い」と断言することは出来ない。

そりゃ育児は楽ではない。睡眠不足の中、精神的に追い詰められるのも事実だ。

ただ、身体が究極に辛かったあの頃と、子に大きな責任を持っている今とじゃ、ジャンルが違いすぎて比べることができない。

今私が断言できるとすれば、一つの事実として、
【妊娠中は、辛い】という事だけだ。

妊娠と出産を経て育児に奮闘する中、褒めてほしい、認めてほしい気持ちが蓄積するのは当たり前だと思う。けれど「産まれてからのほうがもっと大変」という呪いの言葉を、妊婦にぶつけるのはよそう。

「先輩ママ」ならば妊娠時のストレスや不安も解るのだから、妊婦を尊重してあげてほしい。

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