――では金利はどうでしょう? 金利が今より下がることはないといわれていますが、上がる可能性もあるのでしょうか。
田中「現在ほぼ金利1%前後で、これより金利を下げれば銀行が成り立たなくなってしまいます。さらに、2018年には日銀総裁の黒田さんの任期が終わるのです。もしも彼が再任されなければ、金融緩和の方針が見直される可能性があります。再任される見込みもありますが、そうだとしてもこれまで彼が実施してきた“黒田バズーカ”のような圧倒的な金融緩和を行うことは、もうできないでしょう。これ以上の金融緩和ができないところまで、すでに金利を下げてしまっているのですから」
――つまり2018年に金利が上がる可能性があるということですね。
田中「そうなると、住宅市場も大きく変化しますね。金利が上がると、当然調達できる額が減ります。例えば3,000万円の35年返済ローンを、金利1%で借りた人と2%で借りた人だと、700万から800万ぐらい返済額が変わってきます。そうすると皆高い住宅が買えなくなってくるので、連動して住宅価格も下がります」
今こそ住宅購入のチャンス!?
――住宅価格はオリンピックの2020年まで、上昇を続ける見込みなのだと思っていました。
田中「先ほどのマンション価格は下るのかという質問にずばりお答えすると、ほぼ間違いなく下がっていくと思います。2020年が境目だという説に関しては、不動産会社も『オリンピックまでは下がりません』と断言した方が売れるので、表向きそう言う人は多いでしょう。でも業界の人間同士は『2018年が、一番価格変動がありそうだ』とささやき合っていますね。住宅価格は上がり切っていて、金利はもうこれより下がりません。しかもマンション在庫は増えている。そうすると価格は下がる可能性しかありません。少なくともこの3年間で住宅価格は25%上がっているわけですから。その揺り戻しとして落ちていくでしょう。どれくらい落ちるかはわかりませんが……。そのきっかけが2018年であると見る業界関係者は多いのです」
現在は住宅価格が上がり切っていて、いずれ下がっていくという田中さんの見立て。しかも変化のタイミングが2018年だとすると、今こそ住宅購入について具体的にシュミレーションするチャンスだといえるかもしれません。
ただし市場の動向を理解すると「住宅価格が下がる=買い時」と一概に言えるものではないようです。その人の資産状況やライフスタイルによって、住宅価格が下がり切るまで待った方がいいのか、金利が低い時期を逃さない方がいいのか、それとも今ある住宅資産を売ってしばらく賃貸などに暮らして住宅価格が下がるまで待っているべきなのか……など、考えるポイントも異なってきます。
次回は、さまざまな働き方や資産状況の人がローンを組む際の考え方について、引き続きさくら事務所の田中歩さんにお話しを伺います。
(蜂谷智子)