「乳首を吸われたくない」私が完全粉ミルクを選択した理由と、母乳信仰

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 育児にまつわる悩みは母乳問題だけでなく、本当に多岐にわたる。私の場合は、まさに今、息子(6カ月)が夜中3時間ごとに泣き、都度ミルクを飲まないと寝付かないこと。2カ月~4カ月半くらいの間はいったん落ち着き、6時間ぐらいは通して寝ていたのだが、ある時期から突然、新生児期と同じようにこちらも毎晩何度も起きなくてはならなくなった。寝る前のミルクを増やしてみても、部屋の温度を調節してみてもダメ。もちろん、赤ちゃんのうちは「これをしたから良くなった」という絶対的なものはないと思っている。それでも何か少しでも改善する方法はないものかと藁にもすがる思いでネット上で調べてみた結果……

「寝る前のおっぱいが足りないんじゃないでしょうか?一度ぐらいミルクに頼ってもいいと思いますよ☆」
「いっそ卒乳にチャレンジするのはどうでしょう?卒乳すれば落ち着きますよ」→「では卒乳するためにはどうすればいいか? 4つのポイント…」
「添い乳を辞めてみましょう!赤ちゃんはお母さんのおっぱいを探しています!」

 出るわ出るわ、母乳前提での回答ばかり……。「一度ぐらいミルクに頼ってもいい」って……一度どころか産まれてからほぼずっとミルクしか飲ませてないのに寝ないのは一体。

 こういった回答しか存在しなくて、調べれば調べるほど、疎外感……。これらを読んでいると、私のような完全ミルク育児の母親は、「もはや自分は“大前提”という所にすら立っていない」かのような気持ちに苛まれるんじゃないだろうか。

 「ムリせずたまにはミルクに頼りましょう」とか「頑張りすぎなくていいんですよ☆」とか、何だか「ミルクをあげる=楽してる」という認識のもと生まれた言葉のようにも思える。なぜこんなにも、「ミルクをあげる」ことが、一つこう、転落した行動のように表現されるのだろう?

 完全母乳で育てるメリットとして、おそらく一番一般的に支持されている理由は「赤ちゃんに免疫をあげられる」ということだろう(もちろん、楽で経済的だから、とか出るからただ飲ませてるとか、色々理由はあるとは思うが)。母乳じゃないと赤ちゃんが風邪を引きやすくなる、というのは私も聞いたことがあって、一番懸念していたことだった。実際、私の風邪が息子に移った時は「やっぱり母乳じゃないから……」と身近な人に言われたりもした。

 しかし、私が助産師さんに質問したところ、「母乳で与えられるのは、元々お母さんが持っていた免疫だけ。すなわち、お母さんが風邪を引いた時点でそれは元々お母さんにもない免疫だったわけだから、母乳だろうがミルクだろうが同じ結果になる」とのことだった。それに風邪(正確には風邪症候群)の原因ウイルスは何百種類もあって、一度感染した事のあるウイルスに対しては抗体ができるが、全てコンプリートしている(全ての抗体を持っている)母親なんていない。というか老人もよく風邪を引いている。生まれてからコンスタントに1年に2回風邪をひいたとして、30歳の母親であればたった60個の抗体しか持っていないことになる。何百種類もあるウイルスに対して、たった60個しかない免疫を与えたところで、「母乳だから赤ちゃんは風邪を引かない」なんてことはないのだった。

 もちろん風邪だけじゃなく、他の病気に関しても「母乳の方が免疫がつきやすくなる」のは事実なのかもしれないが、その免疫も、生後約6カ月でほぼなくなるという。あとは赤ちゃんが自分で免疫を獲得していくしかないのだ。

 現代社会は母親も産後に何年も家庭におさまらず、会社や社会復帰するケースが増えているし、粉ミルクなどの種類も豊富だ。栄養も、昔と比較すると雲泥の差らしく、今では限りなく母乳に近い成分で作られるなど工夫がされている。つまり、「ミルクでもすくすく元気に育つように」という前提でそういった商品が溢れているのだろう。ミルクであれば、母親じゃなくても、赤の他人だってあげることができるわけで、便利な商品だ。

 だからこそ、なのか、勝手な推測だが「母親が直接赤ちゃんと関わらなくても赤ちゃんは育つことができる」世の中だから、「母乳を与えない」=「母子感の愛情が芽生えない」みたいな危機感が持たれ、こんなに母乳推奨! な雰囲気が蔓延してしまっているのではないだろうか……?

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