「乳首を吸われたくない」私が完全粉ミルクを選択した理由と、母乳信仰

【この記事のキーワード】

 昔(女性の社会進出が今より少なく、専業主婦が一般的だった時代)は、母親は赤ちゃんをおんぶして毎日家事に追われるのが当たり前で、でも逆に今よりは粉ミルクを使用するのが一般的とされていたらしい。いわゆる、粉ミルクブームがあったのだ。昔(90年代初頭ぐらい)のテレビドラマを見ると、育児のシーンで粉ミルクを与える前提でのやり取りがなされていた。しかし2000年代以降、今度は母乳回帰がブームになり、ドラマの中で女優が(別カットだとしても)惜しげもなくバストアップの授乳シーンを晒したりもした。

 私は「完全ミルク」派だったわけだが、息子は周囲に驚かれるほど身体的な成長に恵まれ、毎日活発に生きている。「愛情の欠如」なんてとんでもない、息子がこの世にいなかった時代など思い出せないほど、私は息子への愛情を持っていると自覚している。一番最初こそ後ろめたさがあったけれど、「完全ミルクだったから……」と肩を落としたことはこの半年間一度もなかった。

 完全母乳育児を否定しているのではない。母子にとってそのスタイルが合っているのなら、その方法を「選択」すればいいだけの話だ。私が主張したいのは、「選択する」ということに於いて、完全ミルクという方法だって完全母乳と同じであるべきだ、ということ。仕方なくミルクに……という考え方や表現の仕方は、きっとたくさんの母親を苦しめることになる。

 女性の社会進出・晩産による母体の体力低下・晩婚化などさまざまな要素が絡み合う現在は、昔よりずっとミルクを必要とする育児に傾く状況にあるだろう。それなのに産院は「母乳推奨育児」と強く謳っていたりもするから、厄介だ。

 育児は何年にも渡り、たださえしんどいものだ。だからこそ、こんな風潮のせいで余計なストレスを背負ってしまうことは無駄でしかない。産院も母乳前提でプランニングすることを見直して、妊婦健診の段階で母乳とミルクのそれぞれのメリット・デメリットを解説し、その上で、どちらを選択するか母親一人一人に判断を委ねたらいい。母乳を選択したけど出なかったからミルク、ミルク希望だったけど出まくるので母乳、どちらだって良い。本当に、どちらだって良いのだから。

_______

【1】「正しいお母さんのルール」が満遍なく染み渡ったこの世界が気味悪い
【2】「ベビたん」エコー写真の公開は聖母化したいプレママの自己暗示ではないか?
【3】先輩ママのネガティブな次回予告「産まれてからの方がもっと大変だよ」は何を意味しているのか

1 2 3 4

「「乳首を吸われたくない」私が完全粉ミルクを選択した理由と、母乳信仰」のページです。などの最新ニュースは現代を思案するWezzy(ウェジー)で。