相手が低俗になるなら、私たちは高潔に ミシェル・オバマ「若い女性たちよ、恐れないで、勉強して、自分を表現して!」

文=堂本かおる
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人種差別と「高潔に」闘う

 そんなミシェルも人種差別からは逃れられなかった。8年前の当選当時からオバマ大統領だけでなく、ミシェルをも黒人への典型的な差別表現である「サル」と呼び続けるレイシストが後を絶たなかった。最も酷い例は、昨年の大統領選でニューヨーク州のトランプ選挙キャンペーン共同委員長を務めたカール・パラディーノという人物による「男に戻してジンバブエの奥地に放ったら、ゴリラのマキシーと洞穴で快適に暮らせる」ではないだろうか。ファーストレディですら、黒人というだけの理由でこれほどまでの差別の対象となってしまうこともまた、アメリカのリアリティなのだ。

 大統領選中はヒラリー・クリントンに対しても能力や人格だけでなく、外観についての様々な誹謗中傷がなされた。そうした事態に対し、昨年夏の民主党全国大会でヒラリーへの応援演説を行ったミシェルは世紀の名言を放った。

相手が低俗になるなら、私たちは高潔になります(When they go low, we go high.)」

 今回の演説の中でもミシェルは「diversity」(多様性)を受け入れることを繰り返し訴えた。移民、異なる宗教、異なる人種……ミシェルはこうした多様性こそが「私たち(アメリカ)を形作っているのです」と言い切った。

 演説の後半はミシェルも、周囲の女性スクールカウンセラーたちも、テレビやネットで観ていた女性たちも胸がいっぱいになって涙ぐんだ。演説の最後は以下の言葉で締め括られた。

 「あなたたちのファーストレディであることは私の人生に於ける最大の栄誉でした。そして、私の存在によって皆さんが誇りを持ってくれたことを望みます」

 ミシェル・オバマ。あなたの存在によって全米のみならず、世界中の女性が女性であることに誇りを持てました。ミシェル、ほんとうにどうもありがとう。

 オバマ一家は新大統領就任式が行われる1月20日にホワイトハウスを後にする。
(堂本かおる)

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