年金はヤバくない? 「年金なんて払わなくていい」はサイテーな大人の意見

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 こんにちは。ファイナンシャルおねえさんこと、ファイナンシャルプランナーで社会保険労務士の川部紀子です。

 この国では、年齢を問わず老後のお金の心配をしている人が多いようです。先日も「老後不安」を口にしている新成人がテレビに映っていました。メディアでも、不安をあおるかのように、「老後難民」「下流老人」といった言葉が続々登場し、公的年金はまるで悪者扱い。日本中が不安に思うのも無理はありません。

 確かに、公的年金と平均的な老後の日常生活費を比較すると5~6万円足りないことがデータからわかります。実際60代の方も、申し合わせたように「毎月5万円貯蓄を切り崩しています」と言っているのを耳にします。

 今回は、若い世代の老後、そして年金は本当にヤバいのかを考えてみたいと思います。

サイテーな大人の意見は「年金なんて元が取れないので払わなくていい」

 20歳になったばかりのフリーターから相談を受けたことがあります。20歳から国民年金を払うことになるわけですが、母親が「お金もないんだし、元が取れないんだから、払わなくていい」と言ったとのこと。

 この母親は巷で聞かれる意見を採用しているだけなので、個人を責める気はありませんが、残念ながらこれはサイテーな大人の意見です。私が「サイテー」というのはどこを指していると思いますか? 「払わなくていい」という部分はもちろんなのですが、それよりも「元が取れない」の部分です。

 日本の年金制度は「世代間扶養」という仕組みで成り立っています。これは、今あなたが払っている年金保険料は、年金受給者、つまり現在のおじいちゃんやおばあちゃんのためのものなのです。自分で積み立てたお金を老後に受け取るわけではありません。そもそも、日本の年金制度には、元を取るとか取れないといった概念は一切含まれていません。ですから、私は「年金で元を取る/取れない」の議論が大嫌いです。

 少子高齢化の時代ですから、将来の年金を支える若者が少なくなっていくことはすでに確定しています。であれば、受け取る年金の額が今より少なくなることは当たり前の話なのです。

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