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育児をしていくにあたって、多くの母親たちはいくつもの壁にぶつかり、頭を悩ませる。
些細な疑問だったり、一人ではどうしようもないことだったり、壁の種類は様々だけれど、たとえば、おむつかぶれをした時にまずどういう処置をしてあげれば良いか、離乳食を始めるときはどんな物から食べさせばいいのかetc……専門家によって見解は多少異なるだろうが、こうした疑問に関しては、基本的に答えが用意されている。
皮膚科でこのクスリを処方してもらうといいですよとか、離乳食はこの食材だとうちの子もパクパク食べましたよとか、先人の体験談もそれなりに豊富だ。
「なるほど、じゃあやってみよう」と母親たちがそれらを受け止め、行動に移し、解決すればそれはもうクリア。
問題は、それを試したところでどうもうまくいかないケースだ。
まず、恐らく多くの母親が、育児生活初期に頭を悩ませるであろう「赤ちゃんが何をしても泣き止まない」という問題。
親も一人の人間で気力体力には限界があるのに、食事もとれないし睡眠時間も確保できない、家事なんてもってのほかだ、家が荒れていき心も荒む……!という状況に陥ることはよくある話。
だからこそ、この、どうすれば赤ちゃんが泣き止むか、寝付くか、という問題は、多くの母親が切実に頭を抱えていることであって、その対処法となる情報は常に需要が高い。いくつもの解決策が、世の中に溢れかえっている。特にインターネットを通じて閲覧できる情報は無数にある。
だが残念ながら、検索結果の上位にくる情報が信頼性の高いものではないことが非常に多く、全く根拠に基づいてない情報もあるだろう。それでも「何か少しでも改善すれば……!」と藁にもすがる思いで、母親たちは僅かな休息時間についスマホを手に取ってしまう。
私もそうだった。
ネットでの情報収集は出所がわからないのだから、周囲の経産婦の(信用できる)友人やそれこそ何百~千人の乳幼児を見てきた育児のプロ達(保健師や助産師など)に意見を聞くほうが良質な情報を得られるだろう。
しかし、とにかく今すぐに、手軽に情報が欲しい。そこで、とある質問サイトにて、似たような相談をしている母親の投稿を探してみたのだ。
当時、息子は生後1カ月。当然のことながら、まぁ寝ない。新生児の多くは昼も夜も大体泣くか寝てるかしかないわけで、別に自分の息子だけが「おかしい」と思ったわけではない。そうではなくて、とにかく私自身が寝たかった。
私は昔からロングスリーパーで、日常生活の中で「睡眠が取れない」というのが一番苦痛だった。健康で体力のある人でも、育児の際の睡眠不足は、多かれ少なかれしんどいと思う。このとき私は、強迫性障害という病も患っていたことで、セロトニン(幸せホルモンと呼ばれ、快適な睡眠・オンとオフのスイッチなどに深く関わるらしい)の分泌がまともになされず、睡眠不足が直接、活動力の低下、また思考力の著しい低下に繋がってしまっていた。自分の人生はもう終わった……と日々絶望してみたり、奇行とも取れるような行動を繰り返していた。
私にとっては寝られないよりもご飯が食べられないほうが100倍マシ。そんなだったけれども育児放棄なんていう状況に陥りたくはなかったから、活動限界に近い体力を使ってスマホであらゆる改善策を模索していたのだ。