育休期間の延長、失業給付の拡充だけでは足りない! 根本的な働き方の変化に私たちの声が求められている

【この記事のキーワード】

たとえば、ビルの入退室時間が労働時間と直結していても、入室カードを一旦入り口にスキャンさせ退社したことにして、サービス残業を始めるような経験をしたことのある人は少なく無いでしょう。たとえ正規残業を規制しても、長時間労働に対してはあまり効果が無いのです。

今回の法律が通ったとしても、記録できる残業時間が月60時間になるだけで、サービス残業自体が実際に減ることは無いでしょう。むしろ、単に正規残業時間を制限するだけでは、サービス残業時間を増加させることにもなりかねません。これは、企業による労働者の賃金泥棒です。

そもそも、サービス残業が当然視されている日本企業にとって、サービス残業を実質的に規制するような法律は賛成できるものではありません。大企業との協調路線を取っている現政権では、サービス残業を抜本的に無くすような実効性のある法律を作る意思など無いのでしょう。

それこそ政府が2015年頃から推進している、日本版サマータイムや朝型勤務というのは、体のいい朝型“残業”です。たとえ定時の5時に退勤したとしても、8時に出勤していれば1時間の残業、自動的に月20時間以上は残業することになります。科学的にも早起きは生産性を高めないと言われているにもかかわらず、朝型出勤を推進するなど、国を挙げて生産性を下げようとしているとしか思えません。残業を徹底的に廃止するのではなく、朝型にすげ替えて、残業削減などというのは詐欺です。

そもそも、多くの企業で、たとえ9時始業でも8時半頃には出勤していることを求められ、しかもその時間は「準備時間であって労働時間ではない」と認識されています。会社に拘束されている時点で労働ですから、この認識はおかしなものです。また、日本にまだまだ多い「古き良き時代」型のメーカー企業は、8時台の始業も多いですが、本社勤めの事務職まで8時台に就業する意義があるのでしょうか? 日本の労働には無意味な慣習が多すぎます。

サービス残業も含め、残業を根本的に減らすためにできることがあります。残業に対する賃金割増率を徹底して上げれば良いのです。

現在、日本の残業の賃金割増率は25%です。これを諸外国と同水準の50%まで上げれば、法定内残業時間であっても企業が負担する賃金は相当なものになります。しかし、企業が法定内残業時間を減らすには、社員に残業禁止を徹底するしかありません。残業禁止を徹底する一方でサービス残業を求めるような明確な法律違反はできませんから、それだけでかなり長時間労働が減るはずです。

また、現在の労働基準法の適応を免れるための36協定のような条件を全て撤廃すべきです。そもそも非正規労働者の増加やサービス残業の横行に明らかなように、労働者側の権利が圧倒的に抑圧されている現状で、労使協定などという、労働者と雇用者が対等であるかのような条件など、労働者を欺いているだけです。

2017年もまだ1月ですが、すでに少子高齢化社会の問題や、それを助長している長時間労働などの働き方に関する法案が提出されていることに対しては、一定の評価はできると思います。しかし、その中身に実効性がなければ何の意味もありません。私たち一人一人が政府、企業、日本社会のあり方に対して疑問を持ち、なぜ自分が苦しい状況に置かれているのかを常に考えていくべきです。

この点に関して、労働者かつ日本社会のケアワークを担う保育士の人たちが声を上げました。私立の認可保育所で作る団体が、すべての職員の給与を月額5万円以上、上乗せできるよう、自治体からの支給金額を増やすことを求めたのです。彼らの仕事が少子化問題の改善に不可欠なことはもちろん、労働者としての保育士が、賃金問題で声を上げている点にも目を向けるべきです。労働者なくして国家も企業もなりたちません。

少子化問題の原因は、先行きが見えない社会にあります。国民一人一人が将来に不安を抱えているのは、賃金や自分たちの仕事の先行きが見えないからです。労働者一人一人がそれを自分たちで認識し、改善を求めていくことでしか、企業や国家との「交渉」はできません。社会で働き、賃金を得ている一人一人が、自分たちを取り巻く問題を認識し、声を上げていくことが何よりも重要です。いま私たちにはSNSなど、自分たちの声を上げていくツールが様々あります。昨年の「#保育園落ちた日本死ね」のように、自分たちが置かれている状況を理解し、望ましい方向に改善されるように動き出していくことが必要なのだと思います。

1 2

あなたにオススメ

「育休期間の延長、失業給付の拡充だけでは足りない! 根本的な働き方の変化に私たちの声が求められている」のページです。などの最新ニュースは現代を思案するWezzy(ウェジー)で。