レディ・ガガと自由の女神~ニューヨークとトランプの闘い

文=堂本かおる
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LADY GAGA公式サイトより

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多様性を訴えたレディ・ガガ

 2月5日、アメリカンフットボールの頂点を極めるスーパーボウルがテキサス州で行われた。スーパーボウルは、毎年超大物アーティストによるハーフタイム・ショーが大きな話題となる。

 トランプ政権の動向に国中が揺れに揺れている今だけに、今年のゲストであるレディ・ガガのステージにはなんらかの政治的メッセージが期待されていた。昨年、黒人への警察暴力が大きく取り沙汰されていた時期に、ビヨンセが「ブラック・パワー」を可視化した非常にパワフルなパフォーマンスを行ったことを皆、覚えているからだ。

 ガガは13分間にわたるステージを過去のヒット曲と新曲で繋ぎ、見事な一大エンターテインメント・ショーを展開した。しかし、最も注目すべきは彼女の見事なショーではなく、アリーナの屋上からステージにダイビングする前の2分間だろう。

「神よ、私が愛する国アメリカにご加護を」
アメリカ愛国歌『ゴッド・ブレス・アメリカ』

「この国はあなたの国。この国は私の国。この国はあなたと私のために作られた」
ウディ・ガスリー『我が祖国』

「すべての民のための自由と正義を備えた、神の下の分つべからざる一国家」
『忠誠の誓い』

 ガガは上記のフレーズを歌い、詠み上げた。どれもアメリカが多様性の上に成り立ち、そうしたアメリカを神が守るという意味を持つ。ちなみに『忠誠の誓い』とは映画などでよく見掛ける、胸に手を当て唱えるアメリカ国旗への忠誠の言葉だ。アメリカでは小学生時代に全員が暗記し、国会議員も公式行事などで暗誦する。ガガは、排他的な発言・大統領令を連発するトランプ政権に対し、本来あるべきアメリカの姿をパフォーマンスで示したのだ。

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