『バッド・フェミニスト』に続け!まだまだこんなにある未邦訳フェミニズム本

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モナ・エルタハウィ『ヘッドスカーフと処女膜―中東に性革命が必要な理由』(Mona Eltahawy, Headscarves and Hymens: Why the Middle East Needs a Sexual Revolution, Farrar, Straus and Giroux, 2015)

『Headscarves And Hymens』(HarperCollins Publishers)

『Headscarves And Hymens』(HarperCollins Publishers)

 モナ・エルタハウィはエジプト系アメリカ人のジャーナリストで、『ニューヨーク・タイムズ』などに記事を書いています。『アラビアン・ビジネス』誌の「最もパワフルなアラビア女性100人」2016年度版58位に選ばれました。エジプト生まれで、しばらくロンドンで暮らした後、サウジアラビアにも住んだことがあるイスラーム教徒です。

 この本は髪を覆うスカーフから女性器切除(FGM)までいろいろなトピックをカバーしていますが、基本的にはいかにムスリムの女性たちが性に関する暴力や偏見に苦しめられているかを綴った怒りの書です。個人的な体験がたくさん書かれており、読んでいてつらくなるようなものも多いです。例えばモナは、少女の時に聖地メッカへ巡礼した際、男性の巡礼者や警官から体を触られる性的虐待にあったことを振り返り「聖地の中でも最も聖なる場所で」(p. 50)こんなめにあって大変なショックを受けたことや、2011年のエジプト革命の抗議運動でも機動隊から性暴力を受けたこと(p. 105)を書いています。しかしながらモナは、北アフリカや中東の政治状況はとくに苛酷なものだが、似たようなことは世界中で女性に起こっているとも示唆しています(p. 79)。

 この本における非常に賛否両論を呼びそうな論点として、モナがムスリム女性としてヨーロッパ諸国におけるイスラーム差別を強く批判する一方、ニカブ(顔が隠れるヴェール)の禁止令を支持しているというところがあります。モナの主張では、本来はムスリム女性の問題であるべき議論が、反イスラーム的な右派と、女性のために戦ってあげているようなフリをするムスリム男性に乗っ取られているところに問題があります(pp. 61-69)。これに関する議論はとても興味深いものなので、是非全部日本語で読めるようになってほしいものです。

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