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都市の「官能性」、都心の空き家率上昇。住む街を検討するときに抑えておきたい新知識!

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田中:路線によっては、そういう欠点がありますよね……。急ぎで探さなくてもよいのであれば、一度お目当ての街に住んでみるのもおすすめですよ。いつ頃買いたいという希望はあるのですか?

まりえ:4年後、40歳になるまでには買いたいです。今は年間で家賃に100万円ぐらい払っているので、2000万円ぐらいの物件であれば、賃貸で借りている価格で家が買えるのかなぁと。だったら、漫然と賃貸のお金を払うよりも買ってしまいたいという気持ちがあります。

田中:固定金利1.5パーセント、20年返済のローンで2000万円を借りる場合、月10万弱ぐらいになりますね。

まりえ:本当に今の家賃と変わらないんですね。

田中:ただし、変わらないのであれば焦って買わずに、2年ぐらいの間、じっくり自分に合う街を探したり、少し家賃の安い部屋に住みながら、頭金を貯めたりするという方法もありますよ。

まりえ:確かにそうかもしれませんね。今気になっている街が北区なんです。東京駅へのアクセスが抜群な点が魅力的ですが、環境はどうなのでしょうね。外国人の方が多く住んでいたり、飲み屋が多かったりするなど、混沌としたイメージがあります。

田中:僕は好きな雰囲気ですけどね。赤羽など北区の街は、その混沌としたところが味です。街の魅力を分析するための指標はさまざまあって、「住みたい街ランキング」や地価だけでは割り切れないものです。近年では「センシュアス・シティ・ランキング」という、都市の“官能性”を指標にした基準も話題です。

まりえ:“官能性”ですか?

「官能性が高い街」とは?

田中:「ロマンスの機会があった」「豊かな食文化を楽しんでいる」「共同体に帰属している」など、その土地に住んでいる人が、実際に“体験したこと”を調査したデータをもとに、全国の都市をランキングしたものです。不動産屋の広告では、駅から何分で、都心まで何駅とか、スーパーや公園があるか否かとかの、街の“外的情報”しか分かりません。しかし、本当の住み心地の良さは、“外的情報”だけでは分からないのではないかという考えのもと、新たに作られた指標なのです。

まりえ:なるほど。とはいえ人によっては「豊かな食文化」は求めていても「共同体への帰属」は求めていない場合もありそうです。総合的な官能性が高いから、自分にとってよい街ともいえないでしょうね。

田中:まさに、その街がフィットするかどうかは、住む人のキャラクターと大きく関係しています。

まりえ:本当にそう思います。もう武蔵新城に住んだときのような不便を感じたくないし、買ってしまえば簡単に引っ越しもできませんし……。まずは、自分にどんな街がフィットするのか、考えていきたいと思います!

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「港区に住んでいる人はお金持ち」「目黒区に住んでいる人はおしゃれ」ーー多くの人が無意識のうちに住む人と街のイメージを重ねあわせています。人々が抱く最大公約数的な街のイメージが不動産価格にも直結し、よりブランドが強化される……。でもステレオタイプなイメージのフィルターを外してみれば、意外な掘り出し物件に出合えるかもしれません。

 そのためには、日頃の行動範囲を出て、気になる街に行ってみることが第一歩。筆者は仕事で物件取材を多くしているのですが、内見とあわせて近場で人気の飲食店などをまわってみると、物件情報を見ただけでは分からない土地の表情が見えてくると実感します。

 物件を見たからといって買わなければならないこともないので、散歩のついでくらいの気軽な気持ちで内見を申し込んでみるとよいのではないでしょうか。

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