40代突入から続く体調不良にぶち切れ、仕事そっちのけで健康を追求する大名遊びにはまる

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ナガコ再始動

ナガコ再始動

 3月で43歳になる。昨年の誕生日は拙著『女の解体』(サイゾー)出版記念関連イベントと重なり、盛大にお祝いしていただいたのだが、今年は一人、ひっそりと、これまでの人生を省みながら、ちょっとだけ高級な酒でも飲もうかなと考えている。

 もっとも、一人酒は毎晩の慣習であるため、イベント性がない。自分への誕生日プレゼントを買おうと考えても、あまり物欲がないので、特に欲しいものはない。強いて言うならば、健康になりたい

 というのも、年末以降、連日に渡って37.5℃から38℃の発熱に見舞われ、仕事もままならない状況に陥っているからだ。

続く発熱と大量の処方薬

 発熱は、頭痛や耳鳴りを伴う。頭は常に重く、もやもやし通しで、集中力も著しく低下している。もとより、当方はちょっと動くとすぐ熱を出す虚弱体質である。気圧の変動にも反応しやすく、自律神経も失調気味だ。女性ホルモンの減少など、年齢由来の不調の影響もあるだろう。これまでは、処方薬やヨガや食事で調整しながら、自分のペースで無理せず働く方法論を模索してきたのだが、いよいよ誤魔化しきれなくなってきたといったところだろうか。

 折しも、お正月には泥酔して転び、頭を打ち、その翌日にジムの筋トレマシーンに足を引っ掛けて同所を強打するという珍事を起こした。その足で救急外来に行き、脳のCTスキャンを撮ったところ、特に異常は見られなかった。しかし、発熱といい、たんこぶといい、2017年は「全体的に、頭がやばい」。

 翌日、頭部の前後にアイスノンを当ててヘアバンドで止めた異様な姿で電車に乗り、長年お世話になっている総合クリニックの院長である主治医を訪ねた。「先生、私、頭がおかしい」と訴えると、「まあ、見るからにおかしいよねえ。問題は発熱の原因だね」とのことで、まずはインフルエンザ、血液、尿を検査。いずれも異常なし。肝臓のガンマ値がちょっと高く、貧血気味だが許容範囲。つまり健康体である。

 残る要因としては、生活習慣が挙げられる。主治医は、ストレスに弱い当方の体質や生活習慣(運動不足、お酒大好き、喫煙者など)をよく知っている。よって、この度の発熱もストレスおよび習慣に原因があると見立て、毎度おなじみのアドバイス(「有酸素運動を20分以上行って幸福脳内麻薬βエンドルフィンを分泌する」「首や肩の凝りをストレッチで解消する」「酒を控える。寝酒は厳禁」「煙草はやめる」など)を伝授。そして、睡眠導入剤、抗うつ剤、風邪薬、抗生物質、胃薬、肩こり緩和剤など、10種の薬剤を処方した。その大量の薬剤を前に、訝しむ。「これ本当に、全部必要か? 全部飲み続けたら、かえって頭がおかしくなるのではないか」と。

 しかし、苦痛より逃れたいので、処方薬をおとなしく飲む。薬を飲めば、熱は下がる。試しに飲まずに放置してみると、再び上がる。つまり処方薬には、解熱効果があるのみで、発熱の原因を根治する効能はない。別の原因を探るべく婦人科へ出向いた。年々重くなるPMSや生理痛も含めて相談したところ、外来担当の女医に「煙草吸っている人にはホルモン治療できないので、やめてから来てもらえます? 発熱だったら、先に膠原病とか甲状腺を調べてもらったらどうですか? 生理痛には、ロキソニン出しときますね~」と軽く一蹴されるという悲しい事態に見舞われたのだった。

 なんなのだその雑な対応は! 悪かったな、スモーカーで! 女医の態度に腹を立てたついでに、医者が憎けりゃ薬も憎いとばかりに、大量の薬剤にも憤りが募った。どいつもこいつも薬ばっかり出しやがって! 頭に来たので、焼酎をがぶ飲みしながら、手元の薬の束を全てゴミ箱に投げ入れた。いやいや、捨てるのは薬ではなく、酒の方だろうとの正論は、私の人生には通用しない。正論がまかり通る人生を送って来たならば、現状の自分のような仕上がりには到達しない。所詮、この世はディストピア。酒でも飲まなければ、やっていられない。

 暗黒衝動に任せて薬を捨てた結果、当然ながら発熱は止まらない。別の病院を当たるか、漢方医に相談してみるかと考えながら、寝そべる日々が無為に続き、気づけば3kg太っていた。踏んだり蹴ったりだ。もう嫌だ。「頭がおかしい」状況にもようやく飽きて、「生活習慣も仕事も一回リセット、リフレッシュ。これを今年の自分への誕生日プレゼントとしよう」と決意した。

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