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「ポジティブに輝くキラキラ女子がモテる」は裏返せば女の女神化で自己犠牲促進メソッドである

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さらに前出の記事では、<男性は女と違って悪口文化がないし、女ほどネチネチしていないから根に持たない>という、これまた広く市民権を得ている幻想的な価値観を前提にして、男性に愛されたいと願うのならば3つを実践するのが良いぞ、と説く。男は「悪口やグチを言わない」「何事も根に持たない」女性を好むものだし、どのみち世の中には理想の王子様なんていないんだから「人の良いところを見るようにする」ことが大事。3箇条を実践することであなたのキラキラ度が増し、結果として良い恋愛ができますよ! とのことである。「悪口やグチを言わない」「何事も根に持たない」「人の良いところを見るようにする」っていうのが、どれだけ人を疲労困憊させるかっていうことには一切触れられていない。自らの感情を押さえつけ、負の気持ちに向き合うことを避けた結果、病む……という例も十分考えられると思うのだが、そこはスルーだ。悪口やグチを言わず、何事も根に持たず朗らかに許し、人の良いところを見る努力を続けることは、自己犠牲につながる。ストレスでいつか身体を壊せばキラキラどころじゃなくなる。

この記事に限ったことじゃなく、女性向け恋愛アド(クソ)バイス記事というのは、何かにつけてポジティブ自己啓発を推し進めてくる。ポジティブを重視してネガティブを軽視することを「人の正しい道」と捉える風潮すら感じることがある。その風潮が今後さらに拡大化すればするほど、生きづらさを感じる人は増えていくだろう。男性だろうが女性だろうが、人間である以上ポジティブだけでは生きられないし、全方位どこから見ても素晴らしい人間でいることなんて到底無理だし、むしろポジティブ感情とネガティブ感情どちらもあって当たり前、どちらとも一生お付き合いするしかないんじゃないのか。

はっきりいって、筆者は「悪口やグチを言いたくなる、いまだにムカつく、悪いところが目について仕方ない」といったネガティブな感情が女性(というか人間)にあることを理解できない人とは付き合いたくない。そういう男性は、結局女性の“自分にとって都合の良いキラキラしたところ”しか見ようとしていないわけで、女性は人間だってことすらわかっていない気がする。もちろん、一緒にいる間ずーっと悪口やグチを聞かされ、何でもかんでも根に持たれ、短所ばっかり指摘されたらうんざりするし、恋愛関係を持続させるには相手の長所を見つける努力だって必要だが、それとは別に自分の中にある弱さやネガティブな感情を伝える努力だって必要だ。恋愛関係が継続すればするほど、発展すればするほど、お互い長所だけじゃなく短所が見えてくるし、ポジティブ感情だけじゃなくネガティブ感情も芽生えてくる。短所やネガティブ感情をスルーしてばかりはいられないだろう。

恋愛だけでなく、人生全般において「ポジティブ人間」「良い人間」「キラキラ女子」になるより、ネガティブ感情と仲良く付き合い続ける術を身に着けることのほうが、よほど実用的だ。1分で読める短いWEB記事だからこそ、小難しい本を読まない層にも広く届けることが出来るのだし、同じ量産記事ならポジティブ啓発よりネガティブ認可のほうが今、必要とされているのではないか。

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