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生後5~6カ月になると、1日1食の離乳食を与えることを推奨される。個人差はあるだろうが、歯が生え始めてきたり、大人が食べているのを見てヨダレを垂らしたりし始めたら離乳食スタートの最適な時期だそうだ。
これまでも、初めての育児にあれこれ翻弄されてきた私だったが、この離乳食……私にはまた1つ大きな難関だった。
夫や周囲の人は微笑ましい顔で「そろそろ離乳食だね♪」と言うが、♪の前にその離乳食を作るのは私である。元々細かな作業が好きではないし(大人が食べる料理を作ることもあまり好きではない)、それを赤ちゃん用に、素材や調理法に気を配りながら、月齢に合わせた柔らかさで、安全な食事を作る、だなんて繊細な仕事、考えただけで憂鬱になりそうだった。
息子は早い段階で前述の「離乳食スタートサイン」なるものが表れていたのだが、きちんと1日1食取り入れたのは6カ月半ばを過ぎたころからだった。初めてスプーンで食べ物を口の中に受け入れるという作業も容易ではなく、今までミルクを飲んでいた時の舌の動き(上唇と舌で潰すようにする)を利用しようとするから、上手く食べさせることもすぐには難しい。
息子も息子で、ミルクだったらガブガブと飲め空腹を満たすことができるのに、それが叶わないことにイライラして大泣き。身体をのけ反らせ、ギャーと泣き始めるともうその後はミルクしか受け付けない。
最初の1カ月ぐらいはこんな調子で、でも「食べること」の訓練だと思って根気よく続けるうちに、息子もスプーンから食べ物を得るということに慣れ、今(10カ月)ではすっかり上手に何でも食べるようになった。
離乳食初期に、どんなものを食べさせたら良いか? と悩んだ私がAmazonで注文した書籍が『フリージング離乳食』(主婦の友社)というものだった。1週間分の離乳食をまとめて作り冷凍、食べる時にはレンジでチンしてすぐに与えられるラクラク法というような主旨の内容だったのだが、見開き1ページ目で早速心が折れかけた。
「何を食べさせたらいいのかわかりません」という一般の声の後に、答えとして大々的に書かれていた活字。
『食材を3つのグループに分けて組み合わせればOKです』
ぎゃー。もう無理。
「エネルギー」「ビタミン・ミネラル」「タンパク質源」という、大人の必要栄養素とほぼ変わらない3つのグループの食材を組み合わせて、柔らかく煮てすり潰し、凍らせる(フリージング)。
これは私が求めていた本ではないのではないか……警戒心たっぷりで読み進めると、子供の発育が「〇〇期」という成長段階に区切られていて、その時期に食べて良いもの、硬さなどが詳しく載っている。
「ゴックン期」「モグモグ期」「カミカミ期」「パクパク期」
う~ん、一体なにが違うのかわからない。
だいたい、そんな大事なこと擬音で済ませないでほしいというのが個人的な感想だった。
月齢で「大体これぐらいか?」と思う部分を読んでみると、「おかゆは米1:水1」で「量は80g」で食べさせるとか、他の食材もゆで加減や何センチに切るとか何g食べさせるとか、それらを組み合わせてこんなメニューができます♪ とか書かれており、おしゃれな皿やランチョンマットに柔らか~く煮たにんじんやほうれん草などが美しく盛り付けられていた。
こりゃ無理だと半ばあきらめ、それからの数日をベビーフード中心にやり過ごした。
しかし、ベビーフードだって安くはない。1食100円と考えれば安価だが、それが今後2回食3回食となっていけば、月単位で見たときに結構大きな出費だ。
ここで、私にもひとつ不安があった。
ベビーフードって、食育の観点から見てどうなのだろう?