ママ手作りの離乳食は安心・安全・愛情たっぷり、という刷り込みへの疑問

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そんな「安全面」での心配をクリアしてくれたBFだったが、やはりコスト以上に、離乳完了期(1歳過ぎ)まで、半年以上も毎日与え続けて大丈夫か? という心配が、息子が2回食になった頃から大きくなった。

ネットで調べると、BFは確かに安全だけれど味が濃い目に作られているので、これから成長していく中で食材そのものの味や、薄い出汁の味を嫌うようになる(好き嫌いが激しくなる)懸念もあると書かれている。結果、野菜嫌いになったり、ジャンクフードのような味の濃いものを好むようになり、将来的に栄養面で支障をきたす可能性があるとのこと。

脅しのように感じられなくもないけれど、これらの情報は、育児でおなじみの「精神論」ではなく、医学的に基づいている情報のような気もしたので、私も一日の食事全てをBFでまかなうというのには抵抗が出てきた。

8カ月ごろ、息子が「食べること」にずいぶん慣れてきて、なんとなく「赤ちゃん」から「幼児」に近づいてきたなと感じた時期、素人が作ったものでも死にゃしないだろうと思えるようになり、それをきっかけに手作り離乳食に挑戦することになった。

最初は前出の書籍を参考に、とりあえずこの通りに作ってみようと気合いを入れてやってみた。いざやってみれば意外と何てことないかもしれない。それに一度作ってしまえば後は冷凍して、使う時にチンするだけなのだから楽だろう。

しかし、おかゆやうどんなどの炭水化物から野菜類、たんぱく源となるささみ肉や出汁に使うスープなど全て調理してみると、やっぱりかなりの時間がかかり、個包装して冷凍に至るまで2時間も要した。細かく刻んだり潰したりする作業が入る分、普通の料理の下ごしらえよりは遥かに手間がかかる。

確かにその後の何日かは、メニューを組み合わせてチンするだけなので、BFとまではいかないにしても楽といえば楽だった。

しかし1週間後にはまた同じ作業をしなければならない。結局、忙しい毎日の中でコンスタントに週1で2時間という時間を確約するのが難しく、いつの間にか適当になっていってしまった。

飾りや彩りに気を配る…それは意味ある努力なの?

毎週まとまった時間を取るのが難しかったことと、元々細かい作業が嫌いな私には手の込んだ離乳食は不向きだと思ったわけだが、バランスよく栄養を与えることや、味覚を鍛えるために手作りのものを与える重要性というのは理解できた。今後の食事作りについて学ぶことは出来たから、得るものはあったように思う。

しかしどうしても理解できないのは、「赤ちゃんが飽きないように」や「食事を楽しいと思えるように」というコンセプトで、毎日違う可愛い器を使ったり、鮮やかな盛り付けにする……などの配慮だ。ネットなどでそのあたり調べてみても、「赤ちゃんが美味しそう♪と思えるように、食欲を引き出してあげることが大切だ」とか、「視覚から入る食事の楽しさを与えてあげましょう」とか書かれているが、これは本当に必要なのだろうか?

前出の書籍でも、メニューの写真は決まって、大人が食べるようなクオリティの出来栄え(彩りや盛り付け)になっている。ランチョンマットまで毎日違う(これはさすがに雑誌用だろうけど)。

私も最初の頃は、「おかゆ」「かぼちゃ」「ささみ肉」などをそれぞれの器に盛り、与えていた。結果、とんでもないことになった。おかず→ごはん→おかず→ごはん、のループをしながらいちいち碗を置かなければならないし、その都度変な間が入って息子は大泣き。バクバク食べたいのに変にじらされているのが腹立ったのだろうか、結局後半はおかゆの碗に他のおかずをぶち込んで、そのまま与えることとなった。その方が私も息子も楽で、テンポも良くスムーズに完了することができた。

「赤ちゃんのために楽しい食事を」をコンセプトに、楽しい器を使ったり鮮やかな盛り付けを推奨されているが、少なくとも私の息子は器なんて見ちゃいない。盛り付けだって、与えるのは私なので別に意味がない。食べる前に「ほら、綺麗でしょ?」と見せたとしても、「早くよこせーー!! ぎゃー」と怒り泣き出すだけだ。

それ以降、私はすっかり「ねこまんま」状態にして息子に離乳食を与えている。見た目汚いことこの上ない。最近では日中用のお弁当も用意しなければならないが、それもおかゆと冷凍したおかずとフルーツをタッパーにぶち込んだだけで何の飾り気もない。息子がお世話になっている保育ママEさん(私の駆け込み寺)に、こんな簡素な昼飯で大丈夫か相談した。

「離乳食なんて何だっていいのよ。〇〇ちゃん(息子)が食べたい! と要求してくる時点で立派に食育面成長してる証拠よ。前私が見てた子なんて、おかゆに湯をかけただけって子もいたのよ。その子ももう小学生だけどすごく丈夫な子に育ってるもの。そんなにシビアになることないんじゃない?」

Eさんはいつものようにあっけらかんと言った。

確かに、息子の食欲は日に日に旺盛になっていき、ヘタにスプーンやお椀を息子の目に入れられないほど(食器を見るだけで連想して食事を要求してくるので)、「食べる」ことへの欲が育ってきた証拠だ。

そのうち、「食事」をする楽しさを感じられる年齢になったら、綺麗な盛り付けを施すなどの工夫次第で、食育も進むだろうし苦手な物も食べられるようにもなるかもしれない。しかし、そもそも「母乳やミルク以外のものを身体に取り入れる」とか「固形物に慣れていく」という目的だから「離乳食」と呼ぶのであって、赤ちゃんが「食べやすい」と感じるやり方を重要視すべきではないだろうか。イライラしたりすれば、「楽しい」には繋がらず、離乳食自体進めていくのが難しくなるだろう。

やっぱり、人それぞれ

今までも、育児とは「人それぞれ」だという主張を散々書いてきたが、離乳食も例外なくそれにあたると思う。

BFが良いのか手作りが良いのか、経済面でもそうだが食育的にもどういうメリット・デメリットがあるかは各個人で把握し判断すればいいし、やっぱり他人がああだこうだと口を出すべきことではない。

BFの最大のメリットは、自分では調理しにくい食材(レバーなど)も簡単に取り入れられることで、私も未だにちょくちょく利用している。

他方、全て手作りで行い、盛り付けを重視しSNSにアップしている母親もちらほら見受けられるが、そんな「手の込んだものを作れるママ☆」アピールは、とりあえず赤ちゃん(離乳食時)じゃなくて、SNSを閲覧する他人に向けたものである。私には、多くの「離乳食の作り方」をテーマにした書籍が、“「手の込んだものを作れるママ☆」になるためのプロセス”に準ずるコンセプトな気がしてならない。

本当に欲しい情報は、月齢ごとに食べて良い食材だったり、どうすればスムーズに食べられるかということであり、綺麗な食事を用意する方法ではない。それに、あんな風にランチョンマットだの色とりどりの食器だの、極めつきに彩りのためにおかゆの上に盛られたグリーンの葉っぱだの見せられた日にゃ、私のような大雑把な母親には「ここまでしないと離乳食じゃないの!?」という苦手意識を何となく植えつけられてしまう気がする。

ただでさえ、初めてのことに取り組むのは不安だらけなのだから、せめてリアルな日常に沿った描き方をしてほしいものだ。

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▼5/新米ママが「頑張っているアピール」を怠ると先輩ママからフルボッコにされる、荒んだ育児文化がある
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