連載

早期発見・早期治療というけれど…乳がん検診の精密検査を受けた話

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翌朝、出勤前にそのクリニックを訪問し、マンモグラフィーと超音波検査を受けました。おじさん医師は超音波を診ながら、「やっぱりこれだと、しこりが悪性か良性か判別つかないので、針生検をしましょう」と言いました。まず左乳房に麻酔を打ち、それから太めの針をグイグイッと奥(しこりの位置)まで刺して細胞を採取。まあ、痛い。痛いんですけど、わりと痛みに耐えることが好きな性癖のため、くすぐったいのが続くよりはずっと平気でした。検査結果は一週間後にはわかるとのこと。早い! 混んでるクリニックに予約入れて4月まで待ったりしなくて良かった! でもこの時点から結果告知までの一週間は、「悪性か良性か50:50」ということで、(もし悪性だったらどう闘病していくか、子供は5歳だし預金少ないしまあ保険入ってるから何とかなるかーでも仕事も休みたくないし痛い治療はいいけど吐き気はいやだなあ……)等々、とりとめもなくぐるぐると頭の中を巡っていました。

一週間後。結果を聞きにクリニックへ向かう電車の中、悪い結果であっても出来る限りショックを受けないようにしたいという心の働きにより(恋愛関係でもそうで防衛として最悪のシミュレーションを常にしてしまう)、超どんよりした気分で揺られていたのですが、クリニックのドアを開けて1分で診察室へ呼ばれ、開口一番「良性でした」と。一気に脱力しました。そうか、このしこりは悪性ではなかったか……。といっても経過観察は必要なので一年後にまた同じクリニックで検診を受ける予定が組まれていますが、ひとまずは安心することができました。

今回学んだこと。乳がんの可能性があるとされる「しこり」は、私の場合、自分で触ってもまったく自覚できませんでした。乳房の脂肪がそんなに多くないので、触れてみて少し硬くても乳腺なのか筋肉なのかそれとも骨なのか、自分ではわからないんですね。柔らかい脂肪の中でそこだけフト塊になっている、という状態ならまだわかるかもしれないのですが、骨と皮メインの乳だと何がなにやら。いや、若い女性の乳房は乳腺が発達していて固めであることが多く、貧乳ではなくても「しこり」に気付きにくいかもしれません。

また、乳がんに限らないことかと思いますが、健康診断で何か異変が見つかって精密検査を、となったときに、すぐに受け入れてくれるクリニックはそんなにないのかもしれません。今回はたまたま受け入れてもらえるクリニックに電話がつながったけれど、じゃあ今度自分が、あるいは家族が、なんらかの病気の可能性があって詳しいことを知るため専門医を受診しなければとなったとき、迅速にアクセス出来るんだろうか。診断して治療して、というプロセスに淀みなく辿りつくことは実は難しいことなんじゃないか。がん治療の実績を多く持つ大病院では、患者が列をなしている状態であるため、各診療科ごとに治療開始までにかかる日数をwebサイトで公表しており、数週間~数カ月待ちの科がほとんどです。早期発見・早期治療というけれど、「早期」がいつまでなのかもわからず、私は今回いたずらに不安になってしまいました。もう33歳のいい大人なのに焦って不安ばかりを募らせて今思い返すと恥ずかしいのですが、自分の未熟さを再確認する出来事でした。

(下戸山うさこ)

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