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フリーランスは「かりそめの自由」。自由な働き方は、労働者の権利を奪いかねない。

【この記事のキーワード】

正社員=男性、その他=女性

フリーランスにせよ派遣労働者にせよ、その拡大の背景には、産業構造の変化、労働組合の弱体化、そして女性労働者差別があります。

以前、この連載でお話ししたように(https://wezz-y.com/archives/30866)、戦後の日本政府は企業の要請を受けて、非正規労働者として女性を安く利用するために税制や社会保障に手を加えてきました。女性は技術職には採用されず、技術職に採用されても補助的な仕事しかさせてもらえず、賃金差別は当然視されました。事務職でも一般職としてしか採用されず、結婚したら退職することを暗黙の裡に強要され、結婚後はパートや契約社員として安い賃金で働いてきました。男女雇用均等法によって女性総合職は増えましたが、女性が多くを占めていた一般事務職の大半が派遣に切り替えられました。

総合職でも男女賃金格差はいまだに大きく、昇進などでも不利な立場に置かれ続けています。フリーランスにしても、「クラウドソーシングによって在宅ワークが可能になり、家庭と仕事との両立が可能」と言えば聞こえは良いですが、明らかに結婚・出産・育児によって退職した女性をターゲットとして、労働法の対象外で低賃金労働者を確保するための甘言であることは明らかです。

家庭との両立、正規雇用としての採用されにくさ、男性と同じように働くことの体力的な難しさなど、様々な理由により、女性は自ら非正規雇用を選んでいます。しかしその選択は、正社員という働き方がいかに男性のためにデザインされたものであるか、ということの裏返しでもあります。そうして、女性は常に、不安定な雇用で安くこき使われてきたのです。

権利が守られてこその自由

フリーランス、派遣、契約社員など非正規労働者という働き方は、今や女性だけではなく男性にも広がっています。

フリーランスという働き方がより一般化しているアメリカでは、2005年に労働局による公的調査が行われました。その報告によれば、フリーランスとして働いている人の過半数は正規雇用を望んでいます。また、フリーランスの多くが健康保険にも年金にも加入できていません。そして、フリーランスとして働いているのは、社会経済的なバックグラウンドに恵まれていない人であることが多いのです。フリーランスの多くが、25歳以下で高校卒業以下であり、わずかではありますが、女性の方が男性より多く、白人よりマイノリティの方が多いことも報告されています。やむを得ず不安定な雇用を選択せざるを得ない人が、フリーランスを含めた非正規雇用を選択しながら、「自らの選択」という錯覚に陥らされているのです。

フリーランスを含めた非正規労働は、労働者の自由や権利を守るものではありません。政府と企業が共謀しているのは、正社員という働き方そのものの瓦解です。かりそめの自由を餌に労働者からあらゆる保障や保護をはぎ取り、労働者に対する責任を放棄しようとしているのです。そうしたかりそめの「自由な働き方」によって搾取され、労働法にも社会保障にも守られず、不安定な生き方を選ぶことになるのは、往々にして、社会経済的に恵まれていない人々とその子どもたちです。

労働者側は安易にフリーランスや派遣労働などを選択するのではなく、本当に自由を勝ち取るためには、正社員雇用は確保しながら、労働時間・職場・各種休暇などで正社員の働き方を緩和し、福利厚生を充実することを、企業・政府に求めていくべきです。労働者側が希求すべき自由や権利をはじめから妥協しては、それを手にできる日がやってくることはありません。私たちは、世界の労働者がどれだけの血と涙と汗を流して労働法・労働者の権利を勝ち取ってきたのか、もう一度振り返ってみるべきです。

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