「白は純粋」~ニベアの広告が「人種差別」と批判されたワケ。

文=堂本かおる
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 ニベア製品の広告で使われた「白は純粋」というキャッチフレーズが人種差別的であるとして批判を受け、ニベア側が取り下げる騒ぎがあった。

 ニベアはドイツに本拠を置くBeiersdorf社のスキンケア・ブランドだ。日本を含む世界中の多くの国で販売されており、今回問題となった広告は中東を対象としたニベアのフェイスブックに掲載されたものだった。

 4月2日にアップされたニベアのデオドラント「Black & White」の広告は、明るい陽の光がさんさんと降り注ぐ部屋で、白いローブをまとった女性が窓の前に置かれたベッドに座っているもの。見る者に背を向けて座っており、手も見せていないのでモデルの肌の色は不明。画像の下方に「白は純粋 WHITE IS PURITY」とあり、さらに「(白い純粋さを)清潔に保つ、明るく保つ。何にも穢れさせないで。#目には見えない」と書き添えられている。

 英語の “white” は色としての「白」だけでなく、「白人」の意味でも使われる。

 中東向けとはいえ英語で書かれているため、アメリカやヨーロッパのオルタライトがこの広告に飛び付いた。オルタライトとは極端な保守右翼の新しい呼称で、ドナルド・トランプが大統領に立候補して以来、気勢を上げている。オルタライトは白人至上主義でもあり、彼らにとって “WHITE IS PURITY” というフレーズは「白人は純粋」であり、言外に白人以外の人種の否定が含まれている。

 この広告に驚喜したオルタライトはフェイスブックのニベアのページにオルタライトのマスコット、ペペと呼ばれるカエルのイラストなどをアップした。また、日本の “2ちゃんねる” をモデルに作られた英語版のインターネット掲示板である”4chan”でもオルタライトは盛り上がった。4chanは開設当初は英語圏のジャパニーズ・アニメ&マンガ・ファンの集うサイトだったが、今ではオルタライトにも盛んに使われている。今回もハーケンクロイツのイラストや「ニベアはお気に入りの企業となった」「ニベアの商品を買って友人や家族にも薦める。君たちもそうせよ」といった書き込みがなされた。

 こうした経緯からニベアの広告自体への非難に加え、オルタライトへの嫌悪感も噴出。その結果、ニベア側は広告をアップした2日後に削除し、謝罪のメッセージを発することとなった。

「この広告に対し、気分を害された方に深くお詫びします」
「多様性と平等な可能性はニベアの最も重要な価値観です」

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