ブラック労働により“うっかり自殺しかけた”実体験を、「昔、その気もないのにうっかり自殺しかけました。」と題し、8ページの漫画にしてTwitterに投稿。30万リツイートの反響を呼んだのは、現在はフリーのイラストレーターとして活躍中の汐街コナさん。
いつからか「ブラック企業」という言葉をよく耳にするようになり、自殺者・過労死・過労うつなどの報道とともに、ブラック労働が社会問題になっています。コナさんの漫画は、昨年9月、元・電通社員の過労自殺(2015年のクリスマスに投身自殺)の報道を受けて投稿したものです。
今年4月7日に『「死ぬくらいなら会社辞めれば」ができない理由(ワケ)』(あさ出版)をリリース。渦中にいる方だけでなく、社会で働く者たちに衝撃を与え、話題になっています。命を絶つ寸前まで自身を追い込んでいた当時のこと、周囲の人間が心がけるべきこと、今後期待したい社会の変革など、汐街コナさんにお話を伺いました。
体調不良も「日常」だった
――TwitterへのマンガUPは過労自殺のニュースがキッカケだったということですが、どういった経緯で出版の運びとなったのでしょうか。
汐街 Twitterのマンガを読んでくださった出版社(あさ出版)の方から、「過労で苦しんでいる人のための本を作りたい」と連絡をいただきました。
――出版されてからの反響は大きく、想像以上に同じ状況の方々が多いことが浮き彫りになったと思います。汐街さんのもとにはどのような声が届いていますか。
汐街 同じような状況下にある方で、一度休もうと思った、転職を真剣に考えることにした、というような感想をいただきました。長時間労働ありきの働き方への疑問や不満の声もありました。
――今あらためて“うっかり自殺しかけた”当時を振り返って、その段階に至る前に「しておけばよかった」と思うことはありますか。
汐街 自分が思っているよりずっと、疲れているということに、もう少し早く気がつくべきだったと思っています。ただ、もし今あの頃に戻れても、気がつけるはわかりません。「過労が日常」になってしまうと、おかしいと思わないのです。慢性的な体調不良が出てきた時点で、もう少し対策をとるべきだったのかもしれません。当時は体調不良もなんとなく日常に取り込まれていっていました。