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「過労が日常」で自殺しかけた汐街コナさん「辞めるという判断は間違いではない」

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「ワークシェアリング」を進めよう

――ブラック労働の渦中で判断力を失っている本人に、友人や家族など周囲の人間はどのような働きかけをすることが望ましいのでしょうか。

汐街 本書には監修してくださった精神科医のゆうきゆう先生のアドバイスも書かれていますが、「プレッシャーをかけることをせず、気持ちに寄り添う」ということです。私の場合は、友人が「辞めれば」と言ってくれたように、客観的な意見を言ってくれる人はありがたい存在でした。母親も「あんたの会社はおかしい。普通じゃない」と何度も言ってくれていました。本当に命に関わるかもしれない、という段階の最終手段としては、家族などごく親しい仲に限られると思いますが、半強制的に休ませるというのも、私は必要だと思っています。

――「倒れるまで頑張らなければ認められない」と思わせる環境(職場)が多いことも問題であり改善すべき課題ですが、現状、社会構造の変革に期待できるところはありますか。

汐街 電通・女性社員の過労自殺の事件を受けて、企業や政府も働き方改革に本腰を入れ始めているように見えます。確かに、日本の質の高いサービスや製品は、長時間労働に支えられていた部分も大きかったと思いますが、労働力減少の問題もあり、それでは通用しなくなっていることに企業も気がついていると思います。

今後はITやネットを活用した業務方法の多様化・効率化、また多くの人で仕事を分け合い一人ひとりが働く時間を減らす「ワークシェアリング」をすすめ、長時間労働に頼らない方法で、質を保っていけるようになればと思っています。そうすることで、過労死・過労うつなどを防ぐのはもちろん、プライベートと仕事の両立を可能にし、多くの人の人生が豊かになるのではないかなと思います。また結果的に仕事の生産性も上がると思います。

――一方でこの季節、入社から数週間で辞める新入社員も毎年話題になっています。「踏ん張るべき」と「逃げ出すべき」の線引きはどこだと思いますか。

汐街 私は少なくとも慢性的な不眠・体調不良などが出てきたら、心療内科など専門家に相談しながら、休職や転職、退職を視野に入れていっても良いのではないかと思います。残業時間で言えば、過労死ラインになっている月80時間が目安ですが、職種や人によって大きく変わると思います。1番重要なことはやはり、自分の体調の変化に気付くことだと思います。

すぐに辞めてしまうケースは、会社にとっては大迷惑ではありますが、本当に合わない会社と判断したのであれば、「辞める」という判断も間違いではないと思います。自分が「踏ん張るべき」場所は、自分で選ばないと踏ん張れないですから。その「選ぶ力自体が未熟」と考える年配の方々も多く、あれこれ言いますが、本当に未熟なのかは、当人をよく知る人でないとわかりませんので、他人が口出しをすることではないのかなとも思います。

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